長・永(読み)なが

精選版 日本国語大辞典 「長・永」の意味・読み・例文・類語

なが【長・永】

[1] 〘語素〙 (形容詞「ながい」の語幹相当部分)
① それが相対的に長い形であることを表わす。「長袖」「長芋」「長細い」「足長」「股長」など。
② それが時間的に長く続くことを表わす。「長雨」「長居」「長旅」「長わずらい」など。→ながの(長━)
③ 人の気持などが、のどかであったり、のんびりしたりしているさまを表わす。「気長」「肝長」など。
[2] 〘名〙
① 「ながてん(長点)」の略。
※逍遊軒和歌(江戸初)「五十しゅ侍し中に、これ一しゅながにあづかり侍し」
滑稽本・客者評判記(1811)中「鼠じゅすの長(ナガ)を着て」
③ 「ながかけ(長掛)」の略。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)三「お年寄さま方は、長かけと申して長(ナガ)をおかけ遊ばす」
④ 鰻(うなぎ)、蛇など、長細い動物をさしていう。
洒落本・戯言浮世瓢箪(1797)三「丸太町に円魚(まる)有れば、扇長に鰻鱺(ナガ)あり」

なが・い【長・永】

〘形口〙 なが・し 〘形ク〙
① 空間的に連続している線状的なものについて、一方の端から他方の端までのへだたりが、相対的に大きいさま。
万葉(8C後)二・一二四「人皆は今は長(ながし)とたけと言へど君が見し髪乱れたりとも」
蜻蛉(974頃)上「生絹(すずし)の糸をながうむすびて」
② 時間について、ある時点から連続している他の時点までのへだたりが、相対的に大きいさま。また、永久であるさま。
古事記(712)下「我は一つの長き病有り」
③ 比喩的に、心や気質についていう。のどかなさま、のんびりしたさま、辛抱強いさま、心変わりしないさま、など。
※万葉(8C後)八・一五四八「咲く花もをそろはいとはし晩(おくて)なる長(ながき)(こころ)になほ如かずけり」
大工仲間の語で、「良い」の意。
なが‐げ
〘形動〙
なが‐さ
〘名〙

ながけ【長・永】

形容詞「ながし」の連体形「ながき」の上代東国方言。
※万葉(8C後)二〇・四三九四「大君の命かしこみ弓のみたさ寝(ね)か渡らむ奈賀気(ナガケ)この夜を」

ながらく【長・永】

〘副〙 長い間。久しく。
※歌舞伎・質庫魂入替(1867)「銀座で銀の時計を鬻ぎ、その外銀瓶銀更紗、銀にて長(ナガ)らく売込みやしたが」

ながき【長・永】

〘名〙 (形容詞「ながし」の連体形から) 長いこと。また、長い間。「長きに失す」「長きにわたる」の形で用いる。

なが・し【長・永】

〘形ク〙 ⇒ながい(長)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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