長さ
ながさ
length
平面内で考えたとき、重ね合わすことのできる二つの線分を、長さが等しいという。いま、ある一つの線分OEを固定して、これを単位として他の線分の長さを表す正の実数値を対応させる。このためには、図の(1)のように、線分ABをOEの長さに等しく切っていき、余った部分は、OEをいくつかに等分したものを使って同様に測る。この操作を継続していく。これは、常識的な長さの測り方であるが、公理的構成の幾何学においては、この操作が可能であるように配慮して公理をつくっていかなければならない。ユークリッド幾何学では、ピタゴラスの定理(三平方の定理)が成立する。xy座標系の導入された平面においては、直交座標系により、A(a1,a2),B(b1,b2)の距離は

となる。これは、理論の構成の仕方により、他の定義から定理として導かれることもあり、またこれ自身を定義とすることもある。
[竹之内脩]
曲線L上に2点A、Bがあるとき、LのA、Bの間の長さは、次のように定める。L上、A、B間に数多くの点をとり、それらを順にP1,P2,……,Pn-1(A=P0,B=Pnとする)とする(図の(2))。そして、これらの点を次々と線分で結んで折れ線をつくる。この折れ線の長さ(各線分の長さの和)が、この点のとり方を密にしていったとき、ある極限値に収束するならば、この曲線は長さがあるといい、この極限値を曲線のA、B間の長さという。曲線がx=f(t),y=g(t)で与えられているとき、曲線が長さをもつための条件は、f(t),g(t)がともに有界変動の関数であることである。とくに、曲線が滑らかな曲線であるとき、すなわち、f(t),g(t)がともにC1級関数(導関数が存在して連続であるような関数)であるときは、曲線は長さを有し、それは、

に等しい。ただし、t1、t2はA、Bに対応するパラメーターの値である。もしも曲線がy=F(x)の形で与えられているときは、長さを与える式は、

である。
[竹之内脩]
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長さ【ながさ】
(1)線分の長さ。まず1つの線分を選び,これを単位線分と呼ぶ。そして任意の線分PQが与えられたとき,PQが単位線分の何倍であるかを調べ,半端ができればそれが単位線分の1/10の線分の何倍であるかを調べ,さらに半端ができればそれが単位線分の1/102の線分の何倍であるかを調べ,この操作を限りなく続ける。このとき整数の列n,n1,n2,……が得られ,nは0または正の整数で,n1,n2,……は0から9までの整数となる。そこでa=n+(n1/10)+(n2/102)+……とおき,これを線分PQの長さと定義する。(2)曲線の長さ。曲線上にいくつかの分点をとり,それらの分点をつないでできる折れ線の長さ(有限個の線分の長さの和)をlとする。分点による分割を限りなく細かくしたときのlの上限を曲線の長さとする。
→関連項目求積法|体積|面積
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なが‐さ【長さ】
[一]
① 時間的に長いこと。また、その度合。
※
書紀(720)雄略八年二月(前田本訓)「命の脩
(ナカサ)短
(みしか)さは大
(はなは)だ計らざる所なり」
② 二つの時刻の間隔。
[二]
① 空間的に長いこと。また、その度合。
※不空羂索神呪心経寛徳二年点(1045)「
栴檀を一百八枝を取りて、並に長
(ナカサ)二寸にして」
② 二点間の距離。また、細長い図形の最も長い径。
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デジタル大辞泉
「長さ」の意味・読み・例文・類語
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ながさ【長さ length】
通常は長さとは先験的概念で線には長さが自然に備わっているとされている。数学でも18世紀まではそのように扱われてきたが,現在の数学では線の長さを厳密に定義する。長さのうちもっとも基本的なものは線分の長さである。公理的に扱うことによりこれに厳密な定義を与えることができるが,要するに線分の長さとは次のように定義される正の実数のことであるといえる。まず,一つの線分を選び,これを単位線分と呼ぶ。そして,任意に線分PQが与えられたとき,PQは単位線分の何倍であるかを調べ,はんぱがでればこれが単位線分の1/10の大きさの線分の何倍であるかを調べ,さらにはんぱがでればこれが単位線分の1/102の大きさの線分の何倍であるかを調べ,このことを限りなく続ける。
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世界大百科事典内の長さの言及
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