鐶・環(読み)かん

精選版 日本国語大辞典 「鐶・環」の意味・読み・例文・類語

かん クヮン【鐶・環】

〘名〙
① 金属などでできた輪。円い形で中央部に円い孔(あな)のあいているもの。
正倉院文書‐天平六年(734)尾張国正税帳「鐶并廻等料壱拾漆斤 直稲壱伯弐束」
② たんすなどの器具の引き出しなどにつける、輪の形の引手(ひきて)取手(とって)
滑稽本浮世風呂(1809‐13)四「昼も箪笥(たんす)の環(クヮン)が鳴るという世界(せけへ)さ」
茶釜、飯釜に、あげおろしに便利なようにつけられた、金属でできた取手。
※茶牕間話(1804)上「奈良鐶といふは、奈良の鍛冶が鋳し鐶なり」
④ 紋所の名。②をつなげて種々の形に擬して図案化したもの。五つ鐶、唐鐶菱、鐶木瓜(かんもっこう)鐶雀、鐶桐、外向き三つ鐶、外向き六つ鐶、四つ鐶菱などの種類がある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報