鐘・鉦(読み)かね

精選版 日本国語大辞典 「鐘・鉦」の意味・読み・例文・類語

かね【鐘・鉦】

〘名〙 多く、銅や銅の合金で作られ、撞木(しゅもく)などでたたいたりついたりしてならす器具。
[一] (鐘)
釣鐘(つりがね)撞鐘(つきがね)の総称。時刻を知らせるために打ち鳴らす。梵鐘半鐘などの別がある。
万葉(8C後)四・六〇七「皆人を寝よとの金(かね)は打つなれど君をし思へばい寝かてぬかも」
※源氏(1001‐14頃)末摘花「かねつきてとぢめむことはさすがにてこたへま憂きぞかつはあやなき」
浮世草子・本朝桜陰比事(1689)二「世わたりは時斗(とけい)の細工人此鐘の音に浮世の眠りをさまし」
② 鐘の音。
※千載(1187)秋下・三八二「さらぬだに心細きを山里のかねさへ秋の暮を告ぐなり〈覚忠〉」
新吉原で「鐘四つ」のこと。
※洒落本・文選臥坐(1790)北廓の奇説「『唯今鐘(カネ)でござります』『モシへ今四つでござんすとさ』」
能楽や歌舞伎の「道成寺」に用いる、鐘の形のつくりもの。
[二] (鉦)
たたきがね。下に伏せて置いて撞木(しゅもく)でたたいて鳴らす、平たいかね。また、その音。法事、念仏などの際に用い、また、打楽器として用いる。ふせがね。ひらがね。
※枕(10C終)一二〇「誦経のかねの音など、我がななりと聞くもたのもしうおぼゆ」
御八講などの論議のときに、威儀師が打ち鳴らす磬(けい)。うちならし。
鉦鼓(しょうこ)のこと。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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