鎌状赤血球貧血(読み)かまじょうせっけっきゅうひんけつ(英語表記)sickle cell anemia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鎌状赤血球貧血」の意味・わかりやすい解説

鎌状赤血球貧血
かまじょうせっけっきゅうひんけつ
sickle cell anemia

三日月形細胞貧血ともいう。一種の溶血性貧血で,アフリカ熱帯地方の黒人に多発する遺伝性疾患。血色素の構造に異常があり (HbSヘモグロビンSという) ,このため低酸素の環境で血色素分子の縮合が起って,赤血球の形が鎌状に変形する。鎌状赤血球はこわれやすく,集合して血管血栓をつくりやすい。そのため種々の臓器や組織の循環障害が起り,臨床症状は貧血,黄疸白血球増加腹痛など多彩をきわめる。 HbS保有者はマラリアの感染に対する抵抗力が強い。

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世界大百科事典(旧版)内の鎌状赤血球貧血の言及

【酵素】より

…生物の細胞内でつくられるタンパク質性の触媒の総称。生命の存在するところ,単細胞生物である微生物から,多細胞生物である植物,動物,そして人間にいたるまで,酵素はあらゆる生体の中で生命の営みに不可欠の存在である。酵素の主成分であるタンパク質は,各生物固有のDNAの遺伝情報に基づいて,約20種類のL型α‐アミノ酸がNH2末端から順次ペプチド結合によって連結されることによって合成されたポリペプチド鎖が,構成アミノ酸残基の側鎖間相互作用によって三次元の立体構造を形成することになるが,酵素タンパク質は他の構造タンパク質,たとえば筋肉タンパク質や膜タンパク質と異なり,分子の一隅に活性中心を備えている。…

※「鎌状赤血球貧血」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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