(読み)スズ

デジタル大辞泉 「錫」の意味・読み・例文・類語

すず【×錫】

炭素族元素の一。単体銀白色金属光沢を有し、延性展性に富む。天然錫石などとして産する。鉄板めっきをしてブリキに、また錫はく合金材料・はんだなどに利用元素記号Sn 原子番号50。原子量118.7。

しゃく【錫】[漢字項目]

人名用漢字] [音]シャク(呉) [訓]すず
金属の一。すず。「錫石
僧の杖。「錫杖しゃくじょう挂錫かしゃく巡錫
難読錫蘭セイロン

しゃく【×錫】

錫杖しゃくじょう」の略。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「錫」の意味・読み・例文・類語

すず【錫】

〘名〙
金属元素の一つ。元素記号 Sn 原子番号五〇。原子量一一八・七一。α・βの二つの変態があるが、普通は白色正方晶系のβ型をいう。天然には錫石として存在。工業的には錫石を製錬してつくる。大気中での耐食性と、展延性にすぐれ、箔にすることができる。また、融点が低く、合金をつくりやすい。両性元素で、強酸・強アルカリと作用する。錫鍍金・青銅半田軸受・可融合金などに用いられる。
※続日本紀‐文武四年(700)二月戊子「令丹波国献一レ錫」
史記抄(1477)一五「錫をばなんとした事やらう青金にしたぞ。錫はすずと云ものぞ」
② ①で作った、酒を入れるうつわ。錫の徳利。錫の物。
御湯殿上日記‐文明一六年(1484)七月七日「そのほかは御てうしともにて、御つほねつほねゑすすつかはさるる」
歌舞伎・傾城仏の原(1699)一「文蔵幸ひと三方を被りながら、錫(スズ)を口へよせづつと飲み」

しゃく【錫】

〘名〙 (「しゃく」は「錫」の呉音)
鉱物の錫(すず)または、赤銅(あかがね)。〔色葉字類抄(1177‐81)〕 〔説文
菅家文草(900頃)一・秋日山行二十韻「指過僧持錫、逢迎客採樵」

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【杖】より

…ミクロネシアでは〈夜ばい棒〉といわれる棒を男がもつが,これも本来は男の素性や地位を示す杖である。仏僧や修験者の錫(しやく),中国の仙人やヨーロッパの魔法使いの杖もやはり社会的地位または職能の象徴である。社会的地位の象徴としての杖も,もともとは超自然的力をもつと信じられた杖の神秘力に由来すると考えられる。…

※「錫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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