鋳物用銑(読み)いものようせん(英語表記)pig iron for casting

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鋳物用銑」の意味・わかりやすい解説

鋳物用銑
いものようせん
pig iron for casting

鋳物製品をつくるのに用いられる銑鉄。用途上,ケイ素が多く,マンガン硫黄が少い。日本工業規格 JIS分類で1種 (普通用) ,2種 (可鍛鋳鉄用) ,3種 (強靭鋳鉄用) に分けられる。普通用銑鉄は,内包する大部分炭素黒鉛となり,断面が鼠色なので,鼠銑ともいう。鋳造性はよく,一般の鋳物用として広く用いられるが,黒鉛の片を含むのでもろいという欠点をもつ。可鍛鋳鉄用銑鉄,強靭鋳鉄用銑鉄は鋳造性を残しながら,強靭な性質を与えたものである。

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世界大百科事典(旧版)内の鋳物用銑の言及

【銑鉄】より

…この原因は炭素を多く含む点にあるので,溶けた状態の銑鉄に酸素を吹きこんで炭素を一酸化炭素の形で取り除き,より加工しやすく,使いやすい鋼に変えられる。なお,大型歯車などの鋳物に用いられる銑鉄はケイ素の含有量が高く鋳物用銑(〈ずく〉)と呼ばれるが,日本で生産される量は全銑鉄量(1996年約7570万t)の1.5%前後にすぎず,ほとんどの銑鉄が製鋼用銑である。【槌谷 暢男】。…

※「鋳物用銑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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