銭納(読み)せんのう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「銭納」の意味・わかりやすい解説

銭納
せんのう

代銭納ともいう。中世農民荘園領主などに年貢公事を納入するのに,米,布などの現物で納めるのではなく,銭貨で納入する制度。鎌倉時代中期に始る。銭納化は,荘園領主側の要求による場合と農民側から要求する場合とがある。また,東海道山陽道が銭納化の中心となっている地域である。銭納成立の基本的な要因としては,農工生産力の発展,荘園市場の成立・発展,貨幣流通の増大商人高利貸資本台頭などがあげられよう。中世後期の段銭賦課や戦国大名の貫高制 (→貫高 ) も,銭納の発展を前提としている。 (→夫役 )

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世界大百科事典(旧版)内の銭納の言及

【代銭納】より

…中世の荘園,国衙領,あるいは武家領における年貢・公事の現物納に代わる銭納の制度。鎌倉中・末期には数多くの荘園で行われるようになった。…

※「銭納」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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