銭両替(読み)ぜにりょうがえ

山川 日本史小辞典 改訂新版 「銭両替」の解説

銭両替
ぜにりょうがえ

銭屋とも。近世に銭の売買両替を業務とし,手数料を取得した両替屋。概して小資本で,金銀を取り扱う本両替に対しては脇両替とよばれた。地方の城下町などにも存在したが,とくに三都に多数存在した。大坂の銭両替は,嘉永年間の規定では,1161人を数え,純粋な銭両替からなる三郷銭屋仲間と,金銀売買・両替にも従事する南両替仲間に組織されていた。江戸の銭両替は,1718年(享保3)で584株あり,三組両替・番組両替・寺社方両替にわかれる。三組両替は神田組・三田組・世利(せり)組からなり,金銀の両替も行い,優越的な地位にあった。番組両替と寺社方両替は,それぞれ町方・寺社地に居住する銭両替であった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「銭両替」の意味・わかりやすい解説

銭両替
ぜにりょうがえ

江戸時代,銭の売買を主体とした資本の少い両替商。銭屋ともいう。巨大な資本力をもつ本両替と異なり,米やその他の商品販売を兼ねて,その溜銭をもって銭の両替を行い手数料を獲得していた。江戸,大坂に仲間組織が結成され,幕府から株仲間として公認された。

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旺文社日本史事典 三訂版 「銭両替」の解説

銭両替
ぜにりょうがえ

江戸時代,金銀貨を銭に交換して手数料を得た両替商。

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世界大百科事典(旧版)内の銭両替の言及

【両替】より

…のちに福岡,土佐などの諸藩で銭貨鋳造の公許をみたとはいえ,通用はほぼ領内にとどまった。江戸時代にはこのような貨幣流通があったので,諸藩城下町,門前町,市場町,および大坂,京都,江戸などの封建都市(幕末には開港地,農漁村も含む)では固有の意味での金銭両替が広範に行われた。だいたい地主,商人,豪農,寺社,網元などが多く担当した。…

※「銭両替」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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