銅鈸(読み)どうばつ

精選版 日本国語大辞典 「銅鈸」の意味・読み・例文・類語

どう‐ばつ【銅鈸】

源平盛衰記(14C前)三二「琵琶・鐃・銅鈸(ドウハツ)法性深理に叶へり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「銅鈸」の意味・読み・例文・類語

どう‐ばち【銅×鈸/銅鉢】

仏家で用いる打楽器一種。銅で作った二つ円盤で、外側中央にひもが通り左右の手に持って打ち合わせて鳴らす。銅拍子どびょうし鐃鈸にょうはち

どう‐ばつ【銅×鈸】

どうばち(銅鈸)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「銅鈸」の意味・わかりやすい解説

銅鈸 (どうばつ)

中国,朝鮮,日本の金属製打楽器。シンバルの類で,中央が円形に隆起している円盤を打ち合わせて用いる。単に鈸ともいい,古くは抜,跋などとも書いた。中国では銅鈸子銅盤ともいい,鐃(によう),鐃鈸,鋪,星などとも称した。インドから仏教楽器として渡来,古くは銅抜,銅跋などと書いたが,唐以後銅鈸と書くようになった。宮廷宴楽や仏教音楽に用いられたが,元以後劇楽で重要な打楽器となり,とくに京劇の武場では,大小の鈸を盛んに用いる。朝鮮でも,八音の分類による金部の俗部に銅鈸が見られる(《増補文献備考》)。

 日本には奈良時代にすでに伝来しており,この当時は雅楽にも用いられていた。平安時代以後〈銅拍子〉の名が生じ,〈どうびょうし〉〈どびょうし〉などとよみ,〈土拍子〉と書くようにもなった。雅楽では,現在では舞楽のときに舞具として小型の銅拍子を使用する(《迦陵頻(かりようびん)》)。仏教音楽では〈どうばち〉ともいい,あるいは〈はち〉といって〈鉢〉の字を当てることもある。かなり大型のものを用いるが,声明曲(しようみようきよく)《三十二相》などには小型のものを用い,これを〈羯鼓(かつこ)〉と呼ぶ。仏教音楽では2枚の円盤を打ち合わせたあと,余韻が響いている間に2枚の縁をかすかに触れ合わせる技法が特徴的である。鐃と組み合わせることが多いので〈鐃鈸(にようはち)〉という成語があるが,鐃鈸といって鈸だけを指す場合もあり,また大型の鈸を鐃鈸と称することもある。歌舞伎の囃子では〈チャッパ〉と呼ばれ,民俗芸能では〈かね〉〈手平(てびら)がね〉〈手拍子〉〈どびょうし〉などという。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「銅鈸」の意味・わかりやすい解説

銅鈸
どうばつ

東アジアの金属製シンバル。単に「鈸」ともいう。大きさは直径約10センチメートルないし35センチメートルまでさまざまで、中高になった円盤中央部に紐(ひも)をつけ、それを持って打ち合わせる体鳴楽器。中国では「銅鈸子(ばつし)」などと書き、宮廷音楽、仏教音楽に用いられたが、元代以降京劇などの劇音楽で盛んに用いられるようになった。朝鮮でも仏教音楽やシャーマンの音楽に使用される。日本へはすでに奈良時代に伝来しており、平安時代には「銅拍子(どびょうし)」「土拍子」とよばれるようになった。「銅鈸子」と称して舞楽の『迦陵頻(かりょうびん)』の舞具として用いられるほか、出雲流神楽(いずもりゅうかぐら)、山伏神楽、田楽(でんがく)などの民俗芸能、「チャッパ」と称して歌舞伎(かぶき)の下座(げざ)音楽で使用される。仏教音楽では「はち」(鈸・鉢)と称し、「鐃(にょう)」とセットで用いる。

[柴田典子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「銅鈸」の意味・わかりやすい解説

銅鈸
どうばつ

東洋の体鳴楽器で,日本では銅鉢 (どうはち,どうばち) ともいう。ほかに銅 鈸子,銅盤,鈸などともいう。小型のものを特に銅拍子 (どびょうし) といい,舞具としても用いられる。中国でも本来は外来楽器であって,銅抜,銅跋などとも表記され,また「銅」に「鐃 (どう) 」の字をあてることから,銅 鈸と鐃 鈸とが混用されたりもする。大きさによってさまざまな名称がある。シンバルの一種で,中心部が円形に隆起した円盤の中心に紐を通し,2個をすり合わし,また打鳴らす。仏教では法具として 30~40cmほどのものを用い,その奏法は宗派ごとに規定されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の銅鈸の言及

【鐃】より

…〈どう〉ともいう。(かね)・銅鑼(どら)の類,(れい)類,銅鈸(どうばつ)類のいずれについても用いられた名称。古代中国では舌をもたない大型の鈴をいい,のちには舌をつけたものも指す。…

※「銅鈸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android