銅壺(読み)どうこ

精選版 日本国語大辞典 「銅壺」の意味・読み・例文・類語

どう‐こ【銅壺】

〘名〙
水時計の一つ。底に小さな穴をあけた銅製の壺に水を入れ、目盛りをつけた矢をその水中に立てて水面の低下することによって時刻をはかるもの。漏刻(ろうこく)
田氏家集(892頃)下・七月七代牛女惜暁更「箭漏応寛周歳会、銅壺莫従一宵親」 〔顧況‐楽府詩〕
② 銅製の器物かまど側壁に塗りこんだり、火鉢に仕込んだりする湯わかし。転じて、金属製の入れ物をもいう。
※俳諧・炭俵(1694)下「塀の外まで桐のひろがる〈桃隣〉 銅壺よりなまぬる汲んでつかふ也〈野坡〉」

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デジタル大辞泉 「銅壺」の意味・読み・例文・類語

どう‐こ【銅×壺】

銅または鉄で作った湯沸かし器。かまどの側壁に取り付けたり、長火鉢の灰の中に埋めたりして、火気によって湯が沸くようにしたもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「銅壺」の意味・わかりやすい解説

銅壺 (どうこ)

銅板などでかまど形につくったもの。内部を空洞にしてあるので,そこへ水を満たし,上部に鍋,釜をかけて炊事すると,湯が沸くしくみになっている。江戸の町家の炊事施設として多く用いられた。かまど全体を銅壺にしたものを惣銅壺(そうどうこ)といったが,多くは土製のかまどと銅壺とが併用された。《守貞漫稿》が図を掲げて,〈上図ノ者ハ大釜ノ所土竈一口,其他銅壺二口アリ,此図ノ銅壺三ケヲ合テ二口ヲ備フ,此中銅壺ヲ分銅(ふんどう)ト云〉としているように,分銅形の中銅壺に左右の銅壺を密着させてたき口を2ヵ所設けるのがふつうだったらしい。銅壺には湯をくみ出す口とひしゃく立ての穴がつけてあった。明治以降,銅壺のかまどはしだいにすたれたが,長火鉢などに入れて使う小型の銅壺は第2次大戦前までは広く使われていた。なお,上記の銅壺より転じたものであろう,ブリキ製の箱や石油缶を〈どうこ〉と呼ぶことがある。
(かまど)
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普及版 字通 「銅壺」の読み・字形・画数・意味

【銅壺】どうこ

水時計。唐・戴叔倫〔早春曲〕詩 山(炉)雲を吹いて、腦(りゆうなう)香(かんば)しく 銅壺愁ひて、漏(かうろう)(時がたつこと)長し

字通「銅」の項目を見る

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食器・調理器具がわかる辞典 「銅壺」の解説

どうこ【銅壺】

かまどの側壁に取り付けたり、長火鉢の灰に埋めたりして用いる、銅製または鉄製の湯沸かし。

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