銀行・証券の分離(読み)ぎんこう・しょうけんのぶんり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「銀行・証券の分離」の意味・わかりやすい解説

銀行・証券の分離
ぎんこう・しょうけんのぶんり

銀行と証券の両業者間での不正な取引を防止し,預金者や投資家の利益を保護するための銀行と証券の業務分離。1948年に成立した証券取引法は 65条で金融機関が証券業務を行なうことを原則として禁止した。証券取引法65条はアメリカ合衆国の 1933年銀行法にならったものだったが,アメリカで同法が見直され,日本でも再検討された。1981年に新たに成立した銀行法によって日本の銀行で公共債の証券業務が可能となった。1992年に金融制度改革関連法が成立し,銀行が証券子会社を,証券会社が信託銀行子会社を設立し,相互乗り入れができるようになった。1998年には金融システム改革法の成立に伴い,銀行法,証券取引法の大幅な改正が行なわれ,銀行,証券ならびに保険の相互参入の促進がはかられた。しかし,利益相反や,銀行の優越的地位濫用の可能性は依然として解消されず, 2006年の証券取引法改正によって導入された金融商品取引法でも,銀行と証券の分離の規定が踏襲された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android