鉛ガラス(読み)ナマリガラス(英語表記)lead glass

翻訳|lead glass

デジタル大辞泉 「鉛ガラス」の意味・読み・例文・類語

なまり‐ガラス【鉛ガラス】

酸化鉛を含有するガラスフリントガラスはこの一種。軟らかくてカットしやすく、屈折率が大。光学ガラスクリスタルガラスとして用いる。

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改訂新版 世界大百科事典 「鉛ガラス」の意味・わかりやすい解説

鉛ガラス (なまりガラス)
lead glass

酸化鉛(Ⅱ)PbO成分を含有するガラスをいう。主たる用途は,クリスタルガラス光学ガラスおよび電気用ガラスである。クリスタルガラスは,カットをほどこし高級食器,花器等に使用されるガラスで,多くの場合PbO成分を25~35%含有している。PbO成分はガラスの屈折率を高め,同時に分散,すなわち光の波長による屈折率の変化も大きくなるため,カットしたときに美しい外観をもつようになる。PbO-K2O-SiO2系の光学ガラスはフリント系(フリントガラス)と呼ばれる古典的組成のものの一つである。PbO含有量が90%を超すような組成のものもある。PbOの含有量が増加するにしたがって,屈折率,分散能が上昇するほか,青色光の吸収が大きくなり,黄色みを帯びてくる。また比重も増大する。鉛ガラスは,ケイ砂(主成分はSiO2),炭酸カリウムK2CO3,鉛丹Pb3O4を混合し,るつぼ中で溶融して作られるが,PbO成分の多いものは溶融温度が低くなる。放射線遮へい(蔽)力を生かした用途として,放射線防御ガラスやブラウン管一部分に使用される。また低融点であることから,封着・被覆用ガラスとしての用途もある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉛ガラス」の意味・わかりやすい解説

鉛ガラス
なまりがらす
lead glass

酸化鉛を含有するガラスをいう。フリントガラスはこれに属する(鉛ガラスの生産の当初、ケイ酸原料として燧石(ひうちいし)〈フリント〉を使ったことによる)。鉛ガラスは電気絶縁性、屈折率がともに高く、また高温における成形性、常温における研摩加工性ともに優れているので、電気絶縁用として管球の一部に、高屈折率用の光学ガラスとして、また工芸用、とくにカットを施すクリスタルガラスとして広く用いられている。しかし、優れた電気的・光学的特性にもかかわらず、鉛の毒性のために、ほかのガラスに徐々に置き換えられている。

[境野照雄・伊藤節郎]


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百科事典マイペディア 「鉛ガラス」の意味・わかりやすい解説

鉛ガラス【なまりガラス】

酸化鉛(II)PbOを含有するガラス。比重が大きく,屈折率が高く,軟質で加工性がよく,電気絶縁性にもすぐれる。光学ガラス(フリントガラス),装飾工芸用のクリスタルガラスとして用いられるほか,電球や電子管などの管球用ガラス,X線などの放射線遮断(しゃだん)ガラスなどにも利用。→ガラス

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化学辞典 第2版 「鉛ガラス」の解説

鉛ガラス
ナマリガラス
lead glass

PbOを含むガラス.フリントガラス,クリスタルガラスなどがある.一般に,反射率が高く,形成が容易である.工学ガラス,工芸用,電気用,および放射線しゃへい用などに用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鉛ガラス」の意味・わかりやすい解説

鉛ガラス
なまりガラス

クリスタルガラス」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の鉛ガラスの言及

【ガラス工芸】より

…ガラス工芸用に使用されるガラスの種類は主としてソーダ・ガラス(ソーダ石灰ガラス),カリ・ガラス(カリ石灰ガラス),鉛ガラス(鉛アルカリ・ガラス)で,一部にホウケイ酸ガラスや特殊ガラスも使われる。ガラス工芸の対象とするジャンルは,実用目的をもつ容器や建築用材,室内装飾品のほか,実用機能をもたない芸術作品にいたるまで幅が広い。…

※「鉛ガラス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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