釣り(読み)つり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「釣り」の意味・わかりやすい解説

釣り
つり

一般的に釣りは、その目的から職漁としての釣りと、趣味、レジャーのそれとに大別される。前者は漁業というべきであり、趣味として楽しむ釣り人(アングラーangler)の釣り、あるいはゲーム・フィッシングとは、やはり区別してとらえるべきだろう。本項では、趣味としての釣りについてのべる。

[森 秀人]

釣りの意義

近年の釣りの大衆化は著しく、「釣りとは何か」という基本的な問いかけも行われないまま、いつのまにか人類の遊びの代表格になってしまった感すらある。しかし、人類文化と遊戯を研究したホイジンガの『ホモ・ルーデンス』や、カイヨワの『遊びと人間』などの名著にすら、なぜか魚釣りは取り上げられていない。その理由としては、おそらく釣りは、単に魚捕り一般に統括されると考えられていたからではなかろうか。つまり網打ちなど釣り以外の漁獲法と同一視されていたらしい。いまでも東南アジアなどでは、魚を棍棒(こんぼう)で撲殺(ぼくさつ)するという漁獲法が残っているし、釣りもそんな漁獲法の一部と考えられているのも事実である。要するに、生活の糧(かて)としての概念が強かったのであろう。

 その釣りが、しだいに遊びの要素を濃くし、今日の日本のように、釣り人口2000万といわれるまで膨張してきた秘密は何か。たぶんそれは、釣りが魚捕り以外の大きな魅力を備えているからに違いない。釣りは緊張、陶酔、解放という興奮回路の繰り返しである。釣りの計画、準備、出船、投餌(とうじ)――こうした事前の段階で緊張が高まっていく。続いて魚信、あわせ、釣り上げ――という一連の漁獲段階の陶酔がおこる。そして、やがて訪れる充足感覚、満足感によって、釣り人の精神は解放されていく。カイヨワは、遊びの重要な目的として、イリンクス(眩暈(めまい))をあげているが、それがこの陶酔にあたるものと考えていい。瞬間的に知覚の安定を崩し、一種の快適なパニックをおこさせる。心理的なけいれんと麻痺(まひ)がおこる。男性のほうが女性より釣りを好むのは、男性がアンドロゲンとよばれる男性ホルモンの分泌やアドレナリン(副腎(ふくじん)皮質ホルモン)の分泌において、女性を上回るからである。どちらの物質も、狩猟本能、攻撃本能を増加させる。

[森 秀人]

釣りの歴史

古代

タンパク源を得るための手段として始まった釣りは、漁労文化の担い手として発達を遂げてきたが、その源流ははるかに遠い。釣りの技法にとって基本となるのは鉤(はり)と糸である。糸あるいは縄の発明は、土器のなかった旧石器時代から認めることができる。釣り鉤の発明は、旧石器時代と土器が生まれた新石器時代の中間といわれており、動物などを突く銛(もり)がヒントになったと人類学者たちは考えている。銛も初めは、ただのとがった槍(やり)だったが、やがてカエシ(アゴ)がくふうされた。釣り鉤には初めからこのカエシが認められ、この銛ヒント説を裏づけている。

 石器時代を経て金石併用時代になると、骨角の釣り鉤のほか、銅を素材にしたものが登場し、このあたりになって多少遊びとしての釣り、趣味の釣りといった遊漁の傾向がうかがえてくる。ただし、釣りが遊漁として、遊びの文化として再生するのは、どの国でも中世になるまで待たねばならない。

[森 秀人]

日本

日本の文献で漁(すなどり)または釣りが登場するのは、古くは『古事記』や『万葉集』で、仲哀(ちゅうあい)天皇の皇后・息長帯比売命(おきながたらしひめのみこと)、後の神功(じんぐう)皇后が裳(も)の糸を抜き、飯粒でアユを釣ったというおおらかな記事がみえる。江戸時代になると、武士、町人、職人など階層を問わず遊漁が盛んになった。『忠臣蔵』で知られる吉良上野介(きらこうずけのすけ)の女婿津軽采女正(つがるうねめのしょう)は釣り狂者といわれたほどの人物で、『釣魚(ちょうぎょ)秘伝・河羨録(かせんろく)』(1723)という釣り入門書を著している。「これ漁人の道しるべの原本なり」という添え書きをつけており、春秋のキス釣りを中心に、上巻は品川沖(東京湾)の釣り場など、中巻には釣り具や餌(えさ)、下巻に天候の判断、潮時ほか詳しく書いている。そのほか、1770年(明和7)に『漁人道しるべ』、1788年(天明8)には『陸(おか)釣り手引草・闇(やみ)のあかり』も出版され、このなかには釣り具商の名前まで紹介するなど、遊漁がいかに盛んな時代であったかを裏づけているのではなかろうか。江戸時代にはこのほかにも、たくさんの釣りに関する本が刊行されているが、小説あり入門書あり、怪談あり落語ありと、きわめて多彩な展開だった。

 一方、泰平の時代における武士の鍛錬のために、釣りを奨励した殿様がいたという逸話もある。加賀藩(石川県)ではアユ釣りを家来たちに勧めたが、これは、竹製のアユ竿(ざお)が、長くて重いため、体力を養うのに格好とされたからのようで、独特の加賀竿が生まれている。庄内(しょうない)藩(山形県)でも、藩主自ら率先してクロダイ釣りに出かけたそうで、その隆盛ぶりが有名な庄内竿を生んだ。武士たちは釣りに行くことを「勝負」とよんでいたという。

 明治から大正、昭和へと趣味の釣りはますます盛んになる。1906年(明治39)、釣り好きで知られた作家幸田露伴が、釣りの本質をきわめて的確にとらえた序文を寄せた、石井研堂著『釣遊(ちょうゆう)秘術・釣師気質(かたぎ)』が世に出た。これは釣りの紀行文と体験記をあわせたような構成をとっているが、釣り入門書としては高い評価を受けた。完璧(かんぺき)に近い釣りの入門書が登場したのは1942年(昭和17)の松崎明治著『釣技百科』(朝日新聞社)で、釣り方、仕掛け、餌などを全国的に調査、報告したものである。同年『関東百万人の鮒(ふな)釣場案内』(森田春雄著、三弘社刊)が刊行されているが、いかに釣り人口が多かったかをうかがえて興味深い。

[森 秀人]

世界

ヨーロッパでは中世になって遊漁の目覚ましい進展をみせる。イギリスではアンブロズ大僧正(そうじょう)など、釣り好きの聖職者が輩出し、魚や釣りの本も相次いで出版されたが、世界で最初の釣り入門書ともされているのは、イギリスのジュリアナ・バーナーズという女性のもので、1494年の出版。しかし、釣りの聖書ともされ、現在でも版を重ねているのは、イギリスのアイザック・ウォルトンIzaak Walton(1593―1683)の『釣魚(ちょうぎょ)大全』(1653)である。これには「静思する人の行楽」という標題がついており、中世ヨーロッパ人の趣味への探求心の旺盛(おうせい)さがうかがえる。

 中国各地の沼湖には、釣魚台と名づけられた眺望台があって、詩人たちが釣り糸を垂れたり、詩を吟詠して楽しんだようだ。釣り好きの代名詞でもある「太公望」は、周代の賢臣呂尚(りょしょう)の別名で、釣りをしていて文王(ぶんおう)に出会い登用されたという故事から生まれたとされる。現在、日本の「太公望」たちは、自然とロマンに出会うために釣り糸を垂らすのである。

[森 秀人]

現在

近年の釣りブームの理由の一つに、釣りのスポーツ化があげられよう。釣りの盛んな国では、例外なく釣りのクラブが数多く結成されていて、さまざまな規模の釣りコンテストが開催されている。そこでは釣った魚の重量や体長などを競い合うが、このような計量化・単位化が、釣りをスポーツあるいはゲームとしてとらえる風潮を助長している。さらにテレビや劇画などで視覚化された「観(み)る釣り」は、釣りに参加しないペーパー・フィッシャーを生み出し、釣りジャーナリズムの発達を促し、釣りは大衆文化として成長している。

 第二次世界大戦後、日本の釣りの世界は大きく変わった。釣り糸や釣り竿の科学化が進み、500~600メートルの海底にすむ魚や、100キログラムを超す大型魚さえ釣ることができるようになった。淡水では、ブラックバス釣りを中心とするルアーフィッシングと、伝統的なウキ釣りを継承しているヘラブナ釣りが激増している。「フナ釣りに始まり、フナ釣りに終わる」という諺(ことわざ)にかわって、若いころにルアーをやり、それを究めてからヘラブナ釣りを始める、そういう新しいタイプの釣り人が多くなっている。日本にも古くから、渓流釣りやアユの毛鉤(けばり)釣りに代表されるルアー釣りはあったが、快音を発してプラグなどを飛ばすリールフィッシングは、いかにもマシン時代の釣りである。しかし、科学的な釣り、マシンに頼る釣りがあまりに発達すると、多くの問題が生まれてくる。初心者でも使えるようになった釣り具の開発は、釣りの大衆化にとってはプラスの面もあるが、魚の引きの強弱に反応して、糸を出したり巻いたりするコンピュータ・リールの開発や、小さな湖水での魚群探知機の使用などは、もはや人間の釣りではなく、マシンの釣りというべきである。これではゲームとしての平等性も失われ、釣り場の荒廃をももたらしかねない。釣りの世界においては、科学に振り回されるのではなく、あくまで人間の文化のために科学を利用する、という原則を崩してはならないだろう。

[森 秀人]

釣り具の発達

釣り糸

石を刻んでつくった旧石器時代の釣り針から、現在に至るまでには、先人たちの多くの創意工夫があった。とくに大きな発展をみせたのは、釣り糸と竿であろう。釣り糸は、麻糸や馬の尾の毛を撚(よ)ってつくったもの、天蚕(てんさん)(ヤママユガ科の野生の蚕の一種)からとったてぐす糸、絹糸を塩水につけて乾燥させ、渋をかけたまがい糸、さらに綿糸などが、古くから使われてきた。しかし第二次世界大戦後にナイロン糸が登場し、釣り糸の歴史は一変した。その後テトロン糸も開発され、透明度・伸び・強度など、目的に応じてほぼ理想的なものがつくられるようになった。

[松田年雄]

竿

竿も古くはのべ竿(主として竹)だったが、改良されて携帯に便利な継ぎ竿にかわってきた。継ぎ竿は、1723年(享保8)発行の『河羨録』に、二本継ぎ、三本継ぎが市販されていたとの記述があり、さらに1770年(明和7)の『漁人道しるべ』にも「近年、竿に二継、三継有」とあり、この時代に継ぎ竿が誕生していたことを証明している。継ぎ竿をつくる職人を竿師といい、1783年(天明3)江戸、現在の台東(たいとう)区東上野に初代東作(とうさく)の釣り具店が開かれたが、代々世襲制で、現在でも和竿師(わかんし)として知られる。竹竿は、継ぎ竿に切り込み、焼きを入れてくせを直し、漆などで仕上げられるが、名竿といわれるものは、くせがついても、火入れすればもとに戻るようにできている。

 第二次世界大戦後、登場したグラスロッドは釣り竿の歴史を変えた。耐久性に優れ、竹竿に比べて弾力性に富み、復原力が抜群なうえ、規格品による大量生産が可能なので、破損しても容易に交換修理ができるなど、多くの利点をもつ。ただ、重量の点で竹竿よりもやや重いという欠点があったが、1972年(昭和47)ごろから、カーボン(炭素)を素材にした非常に軽いものがつくられるようになり、高級化に拍車をかけている。

[松田年雄]

釣りの種類

大別すると、海釣りと川釣りに分けられ、海水域全般および海水の混じる川口の釣りを海釣り、川や湖や沼など淡水域での釣りを川釣りという。海釣りは釣り場の条件などによって、沖釣り、陸(おか)釣り、投げ釣り、磯(いそ)釣りなどがあり、川釣りでは一般の釣りと渓流釣りに分けられる。また、対象とする魚によって、さまざまな釣り方があり、欧米から輸入された釣法(ちょうほう)として、トローリングやルアーフィッシングがある。

[松田年雄]

海釣り

陸釣りと沖釣り(船釣り)に大別され、陸釣りは釣り場や釣り方によって、護岸・堤防での釣り、河口(川口)での釣り、砂浜での投げ釣り、磯釣りなどに分けられる。沖釣りは釣り方によって、流し釣り、かかり釣り、トローリング(引き釣り)などがある。

(1)護岸・堤防での釣り もっともポピュラーで親しみやすい釣り方。初心者向きといってもよい。物陰に身を寄せるという魚の防御本能、さらに物陰となる岩礁や構造物などの周辺には、藻類、貝類、甲殻類など餌も豊富なので魚が集まりやすい。護岸・堤防が格好の釣り場であるゆえんである。堤防には、陸地から突き出した突堤と、沖に島状につくられた島堤、両者をあわせた混合堤がある。小規模な突堤では、メゴチ、ハゼ、イイダコウミタナゴ、イワシ、小サバ、アイナメ、カレイ類、小アジなど小物類がよく釣れ、仕掛けも簡単でよく、初心者向き。島堤では小物類に加えて、クロダイ、スズキ、シマダイ、ボラ、メバル、カサゴなどバラエティーに富んだ釣りを楽しめる。

 釣り場を選ぶには、堤防の突端部、曲り角、崩れたような所を探し、ポイントとしては堤壁と基礎部の境目、基礎部と海底の境目を目安とし、これに潮流の方向を見極めて潮が当たる側をねらう。ハゼ、メゴチ、カレイなど砂底の魚をねらうなら、2.7メートル前後の投げ竿に小型スピニング・リールをつけて投げ釣りするか、4.5メートルくらいの長竿を使うのがいい。ウミタナゴ、小アジなどはウキ釣り、アイナメは基礎部の捨て石の間を探り釣り、クロダイはカニや貝類などを餌に堤壁すれすれに沈めて釣る落とし込み釣りか、潮に餌を流して釣るフカセ釣りがいいだろう。スズキは、浮上して群泳しているときは、投げ釣り具に擬餌(ぎじ)を使ってのサーフトローリング、夜は長竿でのフカセ釣りや電気ウキの投げ釣りで釣る。

(2)投げ釣り 砂場での投げ釣りでは、シロギス(キス)、カレイ、イシモチなどが楽しめる。オモリを思いっきり遠くへ投げるというスポーツ的な要素が若者たちに受け、浜のほか磯や堤防、河口でも用いられる釣法である。竿は2.7メートルから4メートル以上のものまであるが、3.3メートル以下のものは、堤防か船からの近距離用とされている。

 リールはスピニング・リールを用い、3メートル以下の竿には小型、3.6メートル前後には中型、4メートル前後には大型をセットする。竿が長いほど遠くに投げることが可能だが、オモリと竿のバランスを考えなければならない。糸は、投げる距離や、魚信のあった場所が見分けやすいように、25メートル間隔で赤、青、白などに染め分けたナイロン糸を使うといい。使う餌によって、ハゼ、カレイ、シロギス、イシモチ、スズキ、クロダイ、アナゴなど、対象となる魚も多い。

 投飛距離は、中級者で100メートル前後、上級者は130メートル以上投げることができる。投入フォームは、野球のピッチングのようにオーバー・スロー、サイド・スロー、スリークォーター・スローなどがあるが、もっとも基本的でコントロールよく投げられるのはオーバー・スローだろう。道糸の太さ・仕掛け・餌をかえれば、ハゼ、メゴチ、カレイ類、シロギス、イシモチ、スズキ、クロダイ、カサゴ、アナゴ、ブダイなど多種多様である。

(3)河口での釣り 上流からは餌が集まり、海水がさし込む場所であるうえ、橋脚、乱杭(らんぐい)、突堤、護岸構造物など、魚のすみやすい環境であることが多く、釣りには恵まれた場所である。やや上流部ではウグイ、ウナギ、セイゴ(スズキの幼魚)、河口部ではハゼ、ボラ、スズキ、クロダイ、イシモチ、カレイ類などが多い。夏から秋にかけてが河口部での釣りの盛期。ウキ釣りやミャク釣りでハゼ、イナ(ボラの幼魚)、セイゴ、投げ釣りでクロダイ、スズキ、イシモチ、カレイ類をねらう。釣り方や仕掛けも、堤防でのものとほぼ同じものを用いる。

(4)磯釣り 海岸の磯または島嶼(とうしょ)(大小の島々)での釣りで、釣り方などの点でとくに区別してよばれることが多い。磯釣りが本格的になったのは、優れた竿、リール、糸が開発された第二次世界大戦以後になってからのことである。

 道具は磯竿を使い、中・小物釣りが目的ならスピニング・リールを、大物をねらうならスター・ドラッグ式のついたサーフキャスティング・リールを用意したい。糸も対象魚の大小に応じて、5号から50号のナイロン糸を100~150メートル程度はリールに巻いておく。仕掛けも、それぞれ対象とする魚によって使い分けなければならない。餌は大物用にはサザエ、イセエビ、アジ、イカなどを用いるが、中・小物にはイソメ、スナメなどが一般的とされる。磯釣りは多くの危険が伴う。このため、海難を未然に防ぐためには、少なくとも次のことをかならず心がける必要がある。出漁に際しては、パーティーを組むこと。救命胴衣、呼び子笛、救命ロープなどを携行すること。そのほか、本格派にはピトン(竿受け)、ハンマー、やっとこ、ワイヤ、ナイフなど、磯釣り特有の道具も必要となるが、習練と細心の注意がとくにたいせつである。

(5)流し釣り(立て縄釣り) 沖釣りの基本的釣法。船から糸を海底へ沈めて釣る状態を「立て縄」と見立てての名称。海には潮の流れがあり、ただ糸を垂らしても、糸は潮に流されて垂直には沈まずに流されてしまう。そこで多くの釣り船は、風上に船首を向け船尾に三角帆を張るか、風に押し戻されない程度にスクリューを回転させるか、あるいは櫓(ろ)でこいで船を潮の流れにのせる。これで糸はほぼ垂直に沈んだ状態になり、餌も潮の流れとともに動くことになる。これを「流し釣り」といい、海の中層から底にいる魚はこの方法で釣る。対象となる魚の種類も多く、内湾の浅い砂底の海ではハゼ、メゴチ、イイダコ、カレイ類、イカ類、岩礁や人工魚礁の周辺ではアイナメ、スズキ、マダイ、メバル、カサゴ、ハタ類、アジ類が釣れる。沖の100~300メートルくらいの水深の海ならムツ、アラ、キンメダイアコウダイなどと、対象魚も変わってくる。

 さらに、釣り方や水深によって、「しゃくり釣り」(タイなど)、「胴つき釣り」(アジ、サバなど中層魚)、「底釣り」(ハタ、カサゴなど)、「フカセ釣り」(イナダなど)、「深海釣り」(ムツ、アコウダイなど)がある。流し釣りに対し、船を錨(いかり)などで止めて釣る「かかり釣り」という釣法もあり、アジ類、タイ、イサキ、クロダイなど、範囲の小さいポイントに魚が群生している釣り場に向いている。ほかに「ボート釣り」があり、ハゼやキス、メゴチなど内湾の浅い海の魚がその対象となる。

(6)トローリングtrolling 船をゆっくり走らせながら、餌か擬餌(ぎじ)で釣る方法で、海では海面近くにいるサバ、カツオ、ブリ、マグロ、カジキ、シイラなど、淡水では山上湖でヒメマスなどマス類を釣るのに適している。日本でも古くから職漁船によるトローリング釣法があり、「引き釣り」とよばれ、現在でも行われている。

(7)ルアーフィッシングlure fishing ルアー(擬似鉤)を用いる釣りの総称で、欧米各国では魚釣りといえばルアーフィッシングをさすほど普及している。アマチュアの釣りで生きた餌を使うことは極端に軽蔑(けいべつ)され、禁止されている所もあるほど。近年、日本でもゲーム・フィッシングとして若者たちに人気を博しているが、擬似針を用いた釣りは、日本でも古くから行われていた。毛鉤を使った渓流釣りや、角(つの)を細工して用いた引き釣り(トローリング)がその例である。

 ルアーを使う釣りを大別すると、フライ(毛鉤)を用いるフライフィッシング、主として金属を素材にしたルアーを用いるルアー・キャスティング、船を使って釣るトローリングなどがあるが、日本では一般的にスプーン・スピナー・ジグなどを用いたルアー・キャスティングのみをさしてルアーフィッシングとよぶことが多い。

[松田年雄]

川釣り

川、湖沼などの淡水魚を対象にする釣りの総称。淡水とは、学術的には陸水とよび、川、湖、沼、池など陸の水をさし、そこにすむ魚を淡水魚と呼び習わしている。川釣りの対象魚としては、アブラハヤ、アユ、イトウ、イワナ、ウグイ(ハヤ)、ウナギ、オイカワ(ヤマベ)、コイ、タナゴ、ナマズ、ヒガイ、マブナ、ヘラブナ、ヒメマス、モロコ類、ヤマメ、ワカサギ、ライギョなどがあげられ、外国から輸入移殖されたブラックバス、ニジマス、ペヘレイ、ブルーギル、そのほかテナガエビも人気が高い。コイ科の魚(マブナ、ヘラブナ、コイ、タナゴ、ウグイなど)が淡水魚のなかでは圧倒的に多く、世界では2000種を超えるといわれ、日本でも50種(種・亜種を含め)に及ぶ。レンギョ、ソウギョなど、1メートル内外の魚も利根(とね)川水系で対象魚の仲間入りを始めた。

 対照魚別では、(1)フナ釣り 「釣りはフナに始まり、フナに終わる」といわれているが、もっとも大衆的なのは、マブナ(ギンブナ、キンブナ)釣りである。ヘラブナ釣りも急速に人気を集め、釣りをスポーツ・ゲームとして楽しむ風潮を助長した。ヘラブナはゲンゴロウブナを人工的に飼育したもので、各地の川や湖沼に放流し繁殖させた。マブナはミミズやアカムシなど動物性の餌を食べるが、ヘラブナは植物性のものを好むためマッシュポテト、麩(ふ)、グルテンなどを餌に、群泳する習性を利用して、「寄せて釣る」のが特徴的である。水温、天候、季節などにより泳層が異なり、神経質な魚なので餌もいろいろくふうされている。練り餌(え)も硬軟と粘り、バラケなど条件に応じて使い分ける必要があり、それも楽しみの一つといえよう。

(2)アユ釣り 日本の釣りの代表格で、6月1日を中心に解禁される、夏の風物詩でもある。アユ釣りは、アユの縄張り意識と闘争本能を巧みに利用し、おとりアユを送り込んで釣る「友釣り」、毛針を使っての「ドブ釣り」が代表的。

 友釣りは、約6メートルから約12メートルの竿におとりのアユをつけて泳がせながら釣る。川底にある石に付着する珪藻(けいそう)類(アカ)がアユの主食。したがって、その周辺をかならず何尾かが自分の縄張りとして占有する。この周辺にほかのアユが入り込むと、闘争心をむき出しにして襲い、自分の城を守ろうとする。このアユの習性を利用して、おとりのアユの鼻に鼻環を通し、尾の後方に1、2本の掛け鉤をセットして、他のアユをひっかけて釣る方法である。おとり、友、友釣りの名もここから出た。友釣りは日本独特の釣り方で、江戸時代には「武士のみに許された」とか、徳川家では御用鮎(あゆ)師を抱え、「見掛け友釣りをやった」(小西柳水著『あゆ釣り』)という話が残されている。

(3)ニジマス釣り ニジマス(レインボウトラウト)はアメリカから輸入されたもので、人工養殖されて大量に各河川・湖沼に放流され、それが繁殖しているほか、常設の釣り堀などでも人気を集めている。ニジマス釣りの竿は3.3メートルから4.5メートル程度の、先調子で硬めがよく、釣り方は玉ウキ釣りか目印をつけたミャク釣り。餌はイクラで鉤に2、3粒つけるか、マグロの切り身、ブドウ虫、練り餌などでもいい。また、ルアー(擬似鉤)を使うルアーフィッシングも可能で、盛んに行われている。

 釣り場別では、(1)渓流釣り 川の上流域や山あいの釣り場など、標高差があって釣法、対象魚も独特なのでとくに区別してよぶことが多い。非常に低い水温を好むヤマメ(北海道ではヤマベ)、イワナが対象魚で、いずれもサケ科の魚。釣り方は道糸に目印をつけるミャク釣りで、餌は川虫、イクラ、ミミズ、ブドウ虫、ヤナギ虫、カジカの卵など。竿は一般的には4.5メートルぐらいのもので、やや先調子の渓流竿が使われる。

(2)湖・ダム湖の釣り 最近ダム湖も増え、釣り期・釣り場などが特殊な条件にあるところから、区別してよばれるようになった。代表的な対象はワカサギやヘラブナ。ワカサギをボートで釣る場合、1.5メートルの竿に枝鉤を6、7本つけた仕掛けで、餌はアカムシかベニサシを用いる。結氷期には直径30センチメートルぐらいの穴を氷にあけ、全長30センチメートルの穴釣り用竿を使って、同じ仕掛けで釣る。夏はヘラブナ、ニジマス、ブラックバスなどが釣れる。

 また毛鉤釣りでは、(1)テンカラ釣り 日本で古くからある、毛鉤の渓流釣り。

(2)フライフィッシング ヤマメ、イワナ、ニジマスなどを毛鉤で釣る方法。魚の好む川虫類に似せてつくった擬似鉤を、昆虫と誤認させて食わせるために高度のテクニックを要し、そのために人気もある。毛鉤にはウェットフライ(湿性毛鉤)とドライフライ(乾性毛鉤)の2種類があり、前者は水中に沈みやすく、後者は浮くことを目的にしている。釣り場で魚が毛鉤を追ってきても就餌しないときは、毛鉤を交換すること。

[松田年雄]

釣り道具

「釣りに六物(りくもつ)あり、一(ひとつ)、具(そな)わざれば魚得べからず」と古い文献にある。六物とは竿、糸、鉤、オモリ、ウキ、餌。このうちの一つが欠けても魚は釣れないというのだが、現代ではウキなしで釣ることもあれば、餌のかわりに擬餌を用いることもある。さらに糸を大量に用意して深海の魚を釣ったり、竿で遠投したり大形の魚を釣るためなど、リールが不可欠なものになっている。時代とともに釣り道具にも変遷があるが、釣り上達の第一歩は、釣魚・釣法によく適合した釣り道具を選ぶことだろう。

[松田年雄]

竿

ロッドrodともいう。竹竿が高級品化したのは、その手工業的な製造法に要因があるが、名竿師の作によるものなら品位、しなやかさで、高い評価を受けている。しかし、一時期もてはやされたグラスロッドにひきつづき、軽くて、じょうぶな、カーボンやボロンを素材にしたロッドが登場し、注目をあびている。重量も、竹竿の半分である。

 竿には「調子」がある。手元近くから曲がるものを本調子、中央から曲がるものを胴調子といい、魚の引きを和らげる。先のほうで曲がる竿は先調子といい、魚を早く手元に寄せることができる。現在はほとんど継ぎ竿が使われ、グラスロッドやカーボンロッドは振出し式が多く、竹竿には並継ぎ、印籠(いんろう)継ぎがある。種類も多く、海釣り用では小物用、磯中物用、磯大物用、超大物用、さらに投げ釣り用、舟釣りの小物用、胴つき釣り用、しゃくり釣り用、トローリング用と多岐にわたり、川釣りでも渓流用、アユの友釣り用、ドブ釣り用、フナ用、ヘラブナ用、タナゴ用、ワカサギ穴釣り用などがある。このほかにルアーフィッシング、フライフィッシングでも専用のロッドが使われる。

[松田年雄]

ラインlineともいう。釣り糸には大きく分けて、道糸用とハリス用がある。道糸は竿から仕掛けまで、ハリスは鉤を直接結ぶ糸である。道糸はナイロンが一般的で、太さは0.2号(細)から150号(太)まで種類も多い。色は白(半透明)のほか、赤や黒に染めたもの、反射光線にも見やすいよう、蛍光染料で染め分けたものや、投げた距離や魚信の位置がわかりやすいよう、赤、青、白、緑など3~4色に染め分けたものなどがある。沖釣りでは、伸びの少ないテトロン糸やダクロン糸が使われる。フライフィッシングでは、太さの変わるテーパーラインを使うことも多い。トローリングには、ダクロンを編んだブロード・ダクロンや、芯(しん)に鉛を入れて擬餌が沈むようにくふうしたレッド・コア・ラインなどがある。ハリスは、直接魚の目に入る部分だけに、透明度の高い良質の、専用のものが用いられる。

[松田年雄]

フックhookともいう。釣り好きでその著書も多い作家幸田露伴は、「ハリは大は小を兼ねないが、その型は迷信にすぎない」と書き残している。が、鉤は対象魚の大小、口の構造、捕食の動作、餌などいろいろな要素を考えて使い分けるのが一般的になってきた。このため、万を超す種類、サイズがある。日本では、セイゴ型、海津型、伊勢尼型、三腰(みこし)型、半月型、キツネ型、袖(そで)型、流線型、やらず型、大輪型、あぶみ型、丸海津型、丸型、ねむり型などが多く使われている。このほかヘラブナ用のスレ、アユのトンボ型、渓流用マス鉤、磯釣り用イシダイ鉤、沖釣り用てんや鉤など、特殊なものがある。

 鉤の大きさは号数で示され、数が大きくなるにしたがって鉤も大きくなるが、欧米では逆に数字が小さくなるにつれて、鉤は大きくなる。色も銀、金、赤、青、黒焼きなど、なかなか華麗で豊富。鉤の生命は鋭い切れ味をもつことと、伸びず折れずといった点にあるが、素材と焼き加減によって、その性質が左右される。

[松田年雄]

オモリ

沈(しずみ)とか、しずともいう。これだけでその用途がわかるが、大きさ・形態は、釣り方、釣り場の条件によって千差万別である。いずれも素材は鉛で、川釣りには板オモリ、割りオモリが主として使われ、海釣りには太鼓型、ナス型、角型、分銅型、舟型などの環つきオモリ、ナツメ型の引き通しオモリなどが使われる。

 沖釣りでは、オモリに腕をつけた天秤(てんびん)オモリ、鉤を直結したてんやオモリ、鉤と竿の中間につける中オモリ、胴つき釣り用のかじつきオモリ、アイナメ釣り用のブラクリオモリ、アナゴ用の釣鐘オモリ、投げ釣り用のロケット型・ミサイル型オモリ、深海釣り用の鋳鉄オモリなどがある。重さは号数表示で1匁(もんめ)(3.75グラム)が1号、数字が大きくなるにつれて重くなる。深海釣りでは120号から200号を使う。

[松田年雄]

ウキ

浮、浮子、泛子とも書いた。魚の泳層に餌を自然に近い状態で流すウキの役目は大きい。ウキを使う釣りは多く、それだけにウキの種類も多い。海、川の小物釣りには、トウガラシ型や玉子ウキ、セルロイド中通し玉ウキ、こま型、棒ウキなどが使われる。特殊なものに、ヘラブナ用のクジャクの羽の芯を素材にしたヘラウキ、桐(きり)やバルサなど軽い木でつくったクロダイウキ、ウキにオモリを組み込んで投げ釣りに使うあたみウキ、透明プラスチック製の伊豆透明ウキ、大型のブダイウキ、サーフキャスティング用の玉子ウキ、電池などを組み込んで夜釣りに威力を発揮する電気ウキなどがある。

[松田年雄]

リール

reel 釣り糸を100メートルから1000メートル近く巻き、遠投したり深海に沈めて釣るための釣り具。遠投用にはスピニング・リール、大物用にはベイト・キャスティング・リールを用いるのが基本。フライフィッシングには専用のフライ・リールがある。

 日本では1953年(昭和28)に淡水用が、1954年に海水用スピニング・リールが登場した。外国に比べてかなり遅いうえ、当時は非常に高価なものだった。それまで、日本で遠投するといえば木製の太鼓型リールで、大磯リール、小田原リールというものがあったが、外国のものに比べるとやや劣っていた。リールには糸巻き量、ギヤ比が表示されている。糸巻き量はどの太さの糸を何メートル巻けるかを表示したものであり、ギヤ比とは1対3とか1対4.5といった数字になっており、ハンドルを1回転させるときに糸巻きが何回転するか、つまり巻き取りのスピードを示したものである。

 スピニング・リールはおもに投げ釣り用で、小・中・大型があり、ハンドルも左・右、左右脱着式があるが、この型のリールは竿の下側につけ、投入と同時に操作するので左ハンドルが標準。スピン・キャスティング・リールはおもに川・湖のルアーフィッシング用で、片手で操作をしやすいよう、オフセット・ハンドル付きの竿にセットする。フライ・キャスティング・リールはフライフィッシング専用で、太鼓型リールに似ているが、構造は精巧で、ばね利用の自動巻き取り装置付きもある。ギヤ比は1対1になっている。

[松田年雄]

海釣りには、環虫類、エビ類、カニ類、貝のむき身、魚肉切り身、生きている小魚、海藻などが使われる。環虫類で一般的なのは、ゴカイ、イトメ、スナイソメ、アオイソメなどでゴカイはハゼ、キス釣りに、スナイソメはキスなどの投げ釣りに、イワイソメは磯釣り全般に適している。アオイソメ、オキアミ、小エビなどは磯釣り・沖釣りに使われ、貝のむき身はアイナメ、クロダイ、カワハギ釣りに、魚肉はカサゴ、ハタ類、ムツ釣りなどに使われる。生きているイワシ、イカ、小アジ類は大物釣り用でとくにイワシはブリ、カツオ、マグロ釣りに欠かせない。海藻はホンダワラ、ハバノリ、アオノリなどがメジナ、イズスミ釣りなどに使われる。ゴカイは砂に、イソメは小砂利などにまぶし、氷と直接触れないようにしてクーラーに入れておくと鮮度を長く保つことができる。

 川釣りには、アカムシ、キジ(ミミズ)、サシ(サバ虫)、川虫(カワゲラ、トビゲラなどの幼虫)、イクラ、チシャノムシ(ヒゲナガゾウムシの幼虫)、練り餌などが用いられる。アカムシ、キジはフナなどに、サシはワカサギ、オイカワなど、川虫はクロカワムシ、チョロムシなど数種が渓流釣りに、イクラはマス類、チシャノムシ、タマムシ(イラガの幼虫)はタナゴ釣り、練り餌はヘラブナ釣りに適している。

[松田年雄]

びく

当て字で魚籠また魚籃。釣った魚を入れる竹籠(かご)。蓋(ふた)付きびくや渓流用びく、渓流用の洋式のものもある。ヘラブナ用には円錐(えんすい)形の網製を使う。底から徐々に内径を小さくした輪で絞った型で、最上部の輪から釣った魚を落とし入れる。その下に逆円錐型の網がつけてあり、魚が逃げ出さないようになっている(中蓋。躍り出しよけ)。いちばん下の部分がズックの布で箱型につくられたズックびくもある。

[松田年雄]

釣りの将来

人口

釣りがレクリエーションの一つとして一般大衆に浸透し、釣り人口も2000万といわれるほどに成長した。釣り人口は、正確な数字を把握することはむずかしかったが、1973年(昭和48)に財団法人日本釣振興会が結成され、初めてその実数や構造、実態や指向についての調査・発表が行われた。この結果、釣り人口は1450万と推定された。1978年の漁業センサスによると、海での釣り人は延べ1761万、遊漁案内船4万2000隻に及び、これに淡水域の釣り人を加えれば膨大な数字となり、推定釣り人口を2000万と結論づけた。

[松田年雄]

内水面

こうした釣り人口の増加や水質汚染、開発に伴う埋立てなどによって、魚は内水面(淡水域)、海水面(海水域)ともに減少の傾向をみせている。内水面では各都道府県によって、釣り人が守らなければならない遊漁規則が定められている。これには、釣っていい時期、つまり解禁、禁漁日をはじめ、魚族を保護するための体長制限、漁法の一部禁止などが含まれ、さらに、釣り人が釣りをする場合には、各漁業組合が設定した遊漁料(入漁料)を支払うことになっている。遊漁料は対象魚によって異なり、1日とか1年間、あるいは解禁期間中といった区別で定められている。一方、漁業組合は、この遊漁料を増殖保護を目的としなければならないという前提があり、自己の河川には魚の義務放流をし、その料金額は各都道府県知事に認可を受けなければならないとされている。

[松田年雄]

海水面

海水面ではこうした遊漁規制はないが、釣り人口の増加と、国費による稚魚放流の栽培漁業も行われていることから、稚魚放流地周辺の一時期禁漁などを義務づけている。国立研究開発法人水産研究・教育機構や都道府県の栽培漁業センターが中心になって、かつては獲(と)る漁業だけだったものが、つくる漁業に結び付けて魚族保護を図っている。

 欧米の釣りは、釣り人にライセンス取得を義務づけている。日本ではこういった制度は一部にしかなく、そのかわりに釣り人の良識にまつ状態だが、たとえば日本へら鮒(ぶな)釣研究会は全国組織をもち、別に全日本へら鮒放流協議会を組織して、釣り人たちの手で広範囲な釣り場に自主放流を実行している。

[松田年雄]

『中村守純著『日本のコイ科魚類』(1969・資源科学研究所)』『松田年雄著『つり入門(入門シリーズ5)』(1983・西東社)』『豊田直之他著『釣り魚カラー図鑑』(1994/改題新版『写真でわかる釣り魚カラー図鑑』・2016・西東社)』『アイザック・ウォルトン、C・コットン、R・ヴェナブルズ著、飯田操訳『完訳 釣魚大全Ⅰ・Ⅱ』(1997・平凡社)』


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改訂新版 世界大百科事典 「釣り」の意味・わかりやすい解説

釣り (つり)

釣針で魚を捕ること。魚釣り,釣魚(ちようぎよ)ともいう。狩猟とともに人間が生活の糧を得るための手段として石器時代にすでに行われていたことは,遺跡から出土する釣針や銛(もり)によって明らかである。釣針や銛を利用するほか,徒手(素手)で魚を捕る方法もあり,いまは魚を捕って生計を営む人を専門漁業者,魚を釣って楽しむ人を遊漁者(釣人)と区別している。

日本では《古事記》に,櫛八玉(くしやたま)神が海人(あま)に大量のスズキを釣らせたこと,山幸彦(やまさちひこ)が兄の鉤(つりばり)を海中に失う話などが記述されているが,趣味としての釣りが盛んになったのは江戸時代に入ってからであろう。寛文年間(1661-73)ころから江戸を中心に釣りが盛んになり,いくつかの流派が生まれた。元禄時代(1688-1704)には江戸本所竪川の置材木の上に金屛風を立て,吉原の傾城(けいせい)の髪を釣糸に金銀象眼の釣りざおで小魚を釣った大名もいた。その後も釣りの人気は上昇を続け,文化・文政(1804-30)から天保年間(1830-44)にかけて隆盛をきわめた。津軽采女正(うねめのしよう)が1723年(享保8)に書いた釣魚秘伝《河羨録(かせんろく)》は,東京湾品川沖のキス釣場から神奈川側にいたる詳細な釣場,天候の見方,さお,針,おもりなどについて3巻にまとめたもので,釣りが発達していたことを示している。玄嶺老人《漁人道しるべ》(1770),里旭の丘釣手引草《闇のあかり》(1788)なども趣味の釣りの入門書で,釣具商の名譜や流派を明記した釣針なども紹介している。

 明治時代に入るとはでな釣りは姿を消すが,ますます一般化し大衆のものとなっていった。石井研堂《釣師気質》(1906)は当時の釣りブームを物語っている。そして昭和時代には松崎明治《釣技百科》(1942)という,日本でははじめての釣入門百科が登場する。釣りの雑誌は1917年に季刊《つり》,翌年に月刊《釣の趣味》,33年週刊《釣魚ニュース》が発刊されている。第2次大戦中はタンパク源補給を目的とした〈経済的の釣り〉〈釣魚報国〉が唱えられたりしたが,敗戦後の落着きをみせはじめた1951年に東京都釣魚連合会が誕生し,つづいて日本へら鮒釣研究会,全日本磯釣連合会など全国組織が続々と結成され,釣人口は増加の一途をたどった。

 釣りがなぜ人気を集めるのか。人間には狩猟本能があるからだという説もあるが,レジャーとしての釣り,スポーツとしての釣りは,自然の中で,のんびりと楽しむことが大前提になっている。山あいの渓流でのヤマメ,イワナ釣り,清流でのアユ釣り,田園風景を背景にしたマブナ釣り,海のイシダイやシマアジなどの磯大物釣り,船に乗って沖の魚を追うなど,いずれも自然の中での作業であり,しかもそれぞれ特徴をもっている。こうした多彩な釣りのなかからどれかを具体的に選ぶにあたっては,釣場の環境を第1条件にして,そのなかで釣れる魚を求めるか,あるいは対象とする魚の大小,引きの強弱を基準にするかの二つの面から判断できよう。

ヨーロッパでは1496年にイギリスで出版された狩猟の本にバーナーズJuliana Bernersという修道女が釣りの手引きを書いたのが釣りの本の最初とされる。現在,釣りの聖書ともいわれる《釣魚大全》はイギリスのI.ウォルトンの書いたものだが,この初版は1653年。このころには,趣味の釣りとしての位置が明確に打ちだされ,マナーなどについても厳しい注文がだされている。

 中国では古王朝周代の太公望の名が有名で,釣人の代名詞ともなっている。太公望は渭水で釣りをしていたが,あるとき3日間何も捕れず,腹立ちまぎれに帽子をたたきつけると,異形の人が現れ,その指示どおりするとフナとコイが釣れたといい,すでに釣りが楽しみで行われていたことをうかがわせる。唐の張志和は烟波釣徒と号し,釣好きの詩人だったというように,釣りで知られる人は多い。現在の中国でも釣りの人気は大きい。

 こうした趣味の釣りが,スポーツとして扱われだしたのは欧米が早い。欧米では魚族保護対策が確立され,それを前提としての釣りがあるため,魚を釣るには,一定のルールに従うことになっている。このルールには,魚の体長,尾数などの制限がある。この制限内で一日を楽しくすごすことは,他のスポーツと同じであるという解釈である。日本でも淡水魚を釣るには,漁業権の設定された河川,湖沼がほとんどだから,遊漁料(入漁料)を支払わなければならない。また魚種によって,解禁,禁漁期間,稚魚保護のための体長制限も決められている。しかし,海区における釣りには,まだこうした徹底した規制,保護対策はほとんどみられない。

釣道具の種類については北宋の学者邵雍(しょうよう)の《漁樵問対》から〈釣りに六物あり,一,具わらざれば魚得べからず〉がよく引用されるが,その六物とは釣りざお,釣糸,釣針,うき(浮き),おもり,餌を指している。

西洋では材木でつくった長くて太いものが使われていたが,18世紀には熱帯アメリカ産の弾力のある木を用いた張合せのものや竹製のものがつくられ,格段の進歩を示した。日本では,竹ざおがかなり古くから使われてきたが,それは一本の延べざおだった。携行に便利な継ぎざおはいつ出現したか確定できないが,《河羨録》のなかに,当時江戸で2本継ぎ,3本継ぎが市販されているという記述があり,現在も和ざおとして愛用されている。この釣りざおをつくる職人,つまり竿師の出現は江戸末期のころとされ,1783年(天明3),現在の東京都台東区東上野に泰地屋初代東作が釣具店を開いたのが最初といわれる。第2次大戦後の1954年ごろ,グラスファィバーを応用したグラスざおができ,軽く,耐久力にすぐれ,曲りぐせがつかないなどの利点はさおの歴史を大きく変えた。71年にはカーボンファイバーを素材にしたさおが登場し,グラスより軽く,反発力が強かったため,グラスざおの人気をしのいだ。81年にはタングステンワイヤの外面にボロンを蒸着したフィラメントをさおにつくりあげたボロンざおが製品化され,高感度,高強度,軽量化が一段とすすんだ。

 釣りざおの性能には長さと調子がある。長さは釣場の状況と対象魚により使い分ける。調子とは,さおの全長を10等分し,さお先から2ないし3のところで曲がる調子をもつものをそれぞれ八二調子,七三調子あるいは硬調子,先調子という。この比率がさおの中心部に近づき4対6ぐらいのものになると軟調子,胴調子と呼ぶ。針に魚を掛けたときの曲りがいちばん正確な調子だが,先調子ざおは重いおもりに耐え,針掛かりした魚の疾走を止める。軟調子ざおは,曲りが大きいから,細かい糸でのショック切れを防ぎ,さお先の調子で餌を食い込ませるときには,抵抗感を与えないなどの利点がある。こうしたさおの長さと調子は幾通りもあり,対象魚によりアユざお,マブナざお,ヘラブナざおなどと呼ぶものや,応用範囲の広さを示して磯の大物ざお,中小物ざお,渓流ざお,船(海)の深場用ざおなどという。

 リールをつけるさおはリールざおというが,リールの機種とのバランスを考えなければならない。リールには両軸受型リール,片軸受型リール,スピニングリール,クローズドフェースリールがある。両軸受型リールは巻きあげる力が強く,糸巻量も多い。大型は水深500mから1000mの深場を船で釣ったり,磯から10kg,20kgあるいはこれ以上の大物を釣るとき,船でのトローリングで100kg級の大物を追うときなどに使われる。片軸受型リールは,巻きあげるスピードが速いものが多く,船からのカワハギや小ダイ釣り,防波堤釣りなどに向く。スピニングリールは,釣糸が,糸巻きから前方にらせん状にでていくので,前の二つのリールとは違う。そして遠投しても釣糸がからまないという特徴をもつため,投釣りにはすべてこれが使われる。クローズドフェースリールもスピニングリールと同じ釣糸の出方をするが,さおに対して上向きにつけ,ルアーフィッシングなどに愛用される。

昔はカイコの幼虫の体内からとった繊維を精製したてぐす(天蚕糸)が使われた。その後,セルロースを酸で処理した人造てぐすができ,第2次大戦後は一般にナイロン糸と呼ばれる合成てぐすが普及しているが,伸びの少ないポリエステル系の糸もあり,船釣用として使われる。

 糸の太さは,欧米ではポンドまたはkgで表し,静荷重をかけて何ポンド(kg)で切れるかを示している。日本の釣糸は号数で表示され0.1号がいちばん細く,数字が大きくなるにつれ太くなる。リールやさおにつける糸は道糸(ライン)と呼び,針を結ぶ糸ははりす(針素。リーダー)という。特殊な場合を除き道糸が太く,はりすはそれよりも細いものを使う。

釣針の型は世界で何百種もある。針軸の長いものを長型,短く丸みのあるものが丸型,角張ったものを角型といい,この三つを基本に,対象魚に応じ,就餌性を研究して,さまざまな針が生まれた。対象魚名のついたスズキ針,タイ針,ソイ針というものや袖型,丸型,伊勢尼型などといったものもある。欧米ではこうした複雑な名はない。針の大小は数字で表示されるが,日本では数字が小さいほど小型,欧米はこの逆になる。針は大は小を兼ねない,針の型は迷信にすぎないと断言したのは,釣好きで知られる幸田露伴だが,やはり型の選択も必要だろう。

うきは対象魚と釣場の流速,波などの条件によってさまざまな形,素材がある。ねらう魚に応じて形と大小を選ぶ。おもりは鉛でつくられたものが主体で,手でちぎって重さを調節できる板おもりから,棒型,角型,球型,ナス型などがある。重さも,日本では1号が3g前後見当となっている。20号は約60g。できるだけ軽いおもりで釣ったほうが,魚の食いはいい。

餌は動物質と植物質に大別する。対象魚によって動物質のミミズ,赤虫(ユスリカの幼虫)や海の環虫類イソメ,ゴカイなどを,また植物質のものではサツマイモ,ジャガイモ,小麦粉などがある。このほかエビ,カニ,シコイワシ,シャコ,サバ,ムロアジ,サンマなども餌にする。最近は南極のオキアミも海釣りの餌として珍重されている。さらに,群泳する習性の魚に対しては,その魚をまず集めるための寄せ餌,集魚剤の効果も大きい。餌は形態と動きが魚の視覚に訴え,水中に溶け出した化学成分が味覚と嗅覚を誘う。餌の昆虫を模した人工のフライ(毛針),小魚を模したルアー(擬餌)を用いることもある。ルアーの場合は音も大いに関係すると思われる。なおアユの友釣はなわばりの習性を利用したもので,餌をつけるのではない。おおむね,魚は産卵前と産卵後に旺盛な食欲をみせる。この時期は魚によって春のものもあれば,秋のものもある。また水温の上昇により食欲旺盛となり,よく釣れるもの,逆に水温低下で餌を活発に求める魚もある。

釣りを対象魚によって分けると淡水域(川釣り)と海水域(海釣り)になる。川釣りは川の最上流に当たる渓流でイワナ,ヤマメ,その下流でウグイ,アユ,平野部の川や沼ではコイ,フナ,オイカワなどを釣る。水質のいい河川では春,海からアユが上流へと溯上してくる。湖やダム湖には,ウグイ,オイカワ,ニジマス,ヒメマス,ワカサギ,ヘラブナ,コイなどがいる。近年,各釣場とも各種の稚魚,成魚放流が行われ,保護,増殖と失われた釣場復活への動きが活発になっている。

 海釣りは,淡水魚に比べて,魚の種類が多く,四季を通じて楽しむことができる。船釣りは,近い航程の釣りを近場の釣り,また水深10~20m付近を浅場釣りなどともいう。シロギス,ハゼ,アイナメ,カレイ,イシモチ,メバルなどが対象魚になる。航程が2時間近くもある釣場に向かうときに遠征釣り,また水深100mから200m前後でクロムツやキンメ,アラなどをねらうときは深場釣りという。さらに水深400mから800mにも及ぶところでアコウやメヌケを釣るのを深海釣りとか超深場釣りという。

 磯釣りは中小物釣り,大物釣りに分けられる。石物と釣人が呼んで,大物釣りの代名詞にも使われるのはイシダイ,イシガキダイで,とくに引きの強いイシダイが主役である。このほかヒラマサ,シマアジは,海面近くを回遊しているのをねらうので上物(うわもの)釣りともいい,これも引きの強さと疾走ぶりが釣人の人気を集める。中小物釣りはメジナ,クロダイ,ブダイ,イサキ,サヨリ,メバルなどがあげられる。とくにクロダイは引きも強く全国的に人気がある。メジナは関西でグレとも呼ぶが,これも引き味がいい。

 海岸の投釣りはシロギス,イシモチ,カレイが主体である。防波堤にも四季を通じてさまざまな魚が集まってくる。東京湾の防波堤はクロダイ,小アジ,アイナメ釣りが人気だが,土地によってイカが釣れたり,チカ(キュウリウオ科)が数あがったりする。

 このほか,欧米から日本に入ってきて,近年人気を集めだした釣りにルアーフィッシング,フライフィッシング,トローリングがある。ルアーフィッシングは金属や木などを素材にしたルアー(擬餌)を用い,日本ではヤマメ,イワナ,ニジマス,ブラックバスなどを釣るもの。フライフィッシングはフライを専用のさおとリールで飛ばして水面に落としヤマメ,イワナなどを釣る。欧米ではサケ,マスの仲間やブラックバスを釣っている。トローリングは,海上をボートでゆっくり走りながら,カジキ,マグロ,シイラ,カツオなどを釣る。
釣針 →フライフィッシング →ルアーフィッシング
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百科事典マイペディア 「釣り」の意味・わかりやすい解説

釣り【つり】

魚釣り。食料獲得の一手段として狩猟とともに先史時代から行われていたが,近年レクリエーションとして急速に大衆化。日本で趣味としての釣りがさかんになったのは江戸時代から。欧米ではさらに一定のルールに従って魚を釣る,スポーツフィッシングの考え方も早くから確立されている。海釣りと川釣りに大別され,また,竿(さお)あるいはうきを用いるか否かでそれぞれ竿釣りと手釣り,うき釣りと脈釣りに,餌(えさ)を用いるか擬餌(ぎじ)を用いるかで餌釣りと擬餌釣り(フライフィッシングルアーフィッシングなど)などに分ける。海釣りには磯釣りと船釣りがあり,トローリング,リールを使用した投釣りなども行われる。川釣りにはヘラブナ釣り,清流でのアユ釣り,渓流でのイワナやヤマメ釣りなど各種あり,アユの場合にはどぶ釣り友釣りなどの独特の釣法が行われる。→遊漁禁漁期釣道具

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「釣り」の意味・わかりやすい解説

釣り
つり
fishing

先史時代からの漁労法の一つ。娯楽を目的とする釣りも中国,ギリシア,ローマなどで古くからみられ,日本でもすでに奈良,平安時代の貴族たちの間で行われていた。海釣り川釣りに大別され,海釣りには磯釣りや船釣り,川釣りには渓流地の釣りや低地の釣りがある。また用いる釣具によって竿釣り (浮き釣り,脈釣り) ,手釣りなどに分類され,餌によっても,餌釣りと擬似餌釣り (ルアーフィッシング) ,友釣りに分けられる。釣りは娯楽,スポーツの対象としてますます盛んになる傾向にあり,用具などの発達によって多様化している。魚の保護のために,漁業調整規則による制限がある。

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知恵蔵 「釣り」の解説

釣り

電子掲示板などで、自らへの批判を受け流しながら、類型化されたつっこみを誘導する行為。愉快犯的な遊び心から行われる場合が多く、わざと稚拙な質問をしたり、あえて反対のことを言たりする。過敏な発言者に対して有効であり、釣り針に食らいつくような反応を楽しむ意地悪でもある。縦読み(行頭文字を連ねると読める)レスなどと併用されるケースも顕著。

(川口正貴 ライター / 2009年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典(旧版)内の釣りの言及

【漁労文化】より

…〈刺し網〉の形式そのままに小鳥を捕らえる〈霞網〉があり,カモシカを生け捕りにするnet‐huntingという〈追いこみ網〉形式の狩猟法も考えられる。 釣りという概念は漁労独自の待伏せ方式である。餌のついた釣針を水中に垂らしてこれに誘い寄せられた魚を引っかけて捕らえるという漁法は,世界各地に普遍的に分布している。…

【釣針】より

…各部の名称を図に示す。ミミズをだんご状に丸めて用いる松島湾のハゼ釣りや,南太平洋のたこ(凧)とクモの巣を使ったダツ釣りのように,釣針を使わない釣りもまれにあるが,釣針は釣りの六物(釣針,釣糸,釣りざお,餌,おもり,うき)のなかで最も重要な要素である。形によって特徴があるので,対象,目的によって使い分ける。…

【遊漁】より

…遊漁の水面は,海面と河川・湖沼などの内水面に分かれる。遊漁の方法には,船釣り,磯釣り,突堤などでの陸(おか)釣りのほか,潮干狩り,地引網,簀(す)立てなど各種の観光漁業がある。海面遊漁人口は近年増加しているが,8割近くが釣りであり,潮干狩りが十数%を占める。…

※「釣り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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