日本大百科全書(ニッポニカ) 「金太郎飴」の意味・わかりやすい解説
金太郎飴
きんたろうあめ
切り飴(あめ)の一種。丸い棒状のさらし飴で、どこを切っても断面に金太郎の顔が現れるように細工したもの。江戸時代中期から売られていた。製法は、まず金太郎の顔を組み立てる飴(肉板)を用意し、顔の色を出すのに赤飴、頭髪や眉毛(まゆげ)、目の部分にはココアやカラメル(昔は墨を用いていた)を混ぜた飴を用意する。肉板の上にあご、口、両頬(ほお)、鼻、目、眉毛、額、頭髪の部分となる飴を順に積み重ね、肉板で周りをくるむ。これを長く引き伸ばし、包丁で切りそろえればできあがる。飴の柔らかいうちに手早く作業するが、すべて手仕事であるから顔の表情は飴の1本ごとに異なるところがおもしろい。市(いち)の日や縁日、祭礼には、「飴の中から金太さんが出たよ」の売り声が子供の人気をさらってきた。東京・台東(たいとう)区根岸に、老舗(しにせ)の金太郎飴本店がある。
[沢 史生]