金剛鈴(読み)こんごうれい

精選版 日本国語大辞典 「金剛鈴」の意味・読み・例文・類語

こんごう‐れい コンガウ‥【金剛鈴】

〘名〙 仏語密教修法のとき、諸尊を驚覚し歓喜させるためにならす鈴。その柄が五鈷・三鈷・独鈷・宝珠・塔の形をした五種がある。大壇中央、およびその四方に置く。
平家(13C前)八「金剛鈴を打ち振り打ち振り」

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デジタル大辞泉 「金剛鈴」の意味・読み・例文・類語

こんごう‐れい〔コンガウ‐〕【金剛鈴】

金剛しょ一端に鈴を取り付けたもの。密教法具の一。振り鳴らして仏・菩薩ぼさつ注意を喚起し、歓喜させる楽器れい

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金剛鈴」の意味・わかりやすい解説

金剛鈴
こんごうれい

密教法具一つで,修法のときに用いる楽器の一種。柄は金剛杵 (しょ) の形で,その一端に鈴をつけたもの。仏菩薩の注意をひき,歓喜させるために打鳴らされるもの。金剛盤に載せる。

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世界大百科事典(旧版)内の金剛鈴の言及

【鈴】より

…しかし中国で鐸とするのは有柄有舌のカネで,鈕によって吊り下げるのではなく,把手をそなえ,これを握って揺らし鳴らすものをいう。しかもこれに対しては,日本では密教法具の金剛鈴(こんごうれい)のように〈レイ〉と呼び,鐸と鈴(れい)の関係が逆転しているので注意を要する(図)。 先史時代以来,粘土をこね焼成してつくった土鈴(どれい)は,世界各地で知られている。…

【密教法具】より

…密教法具は当初,最澄,空海,常暁,円行,円仁,恵運,円珍,宗叡の入唐八家によって請来されたが,おのおのに若干の異同があって整合性を欠く。この時代のものを大別すると金剛杵(こんごうしよ)と金剛鈴(こんごうれい)が主流をなし,異種に独鈷(どつこ)杵の端に宝珠をつけた金錍(こんべい)があり,そのほか輪宝(りんぼう),羯磨(かつま),四橛(しけつ),盤子(ばんし)(金剛盤),閼伽盞(あかさん),護摩(ごま)炉,護摩杓などがあるが,供養具まで完備するには至っていない。やがて,壇上に火舎(かしや)(香炉)を中心に六器(ろつき),花瓶(けびよう),飯食器(おんじきき)などをそろえた一面器,さらに四面器を配するなど,密法法具の整備拡充が進む。…

【鈴】より

…〈鈴〉の字をレイと読む場合,日本では有柄有舌の体鳴楽器,すなわち把手をもち内部に舌(ぜつ)を吊るして,振ると舌が本体の内側を打って発音するものをいい,一般には密教法具の金剛鈴(こんごうれい)を指す。しかし中国で〈鈴〉とするものは,スズや日本のレイと異なり,有鈕有舌の鐘(かね),すなわち吊り手をもち,内部に舌を吊るすものをいい,日本ではこれを古くから(たく)と呼んでいる。…

※「金剛鈴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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