量子論理(読み)りょうしろんり(英語表記)quantum logic

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「量子論理」の意味・わかりやすい解説

量子論理
りょうしろんり
quantum logic

量子力学の世界において,普通われわれが使っている論理と異なる論理が成り立つという事実に基づき,ジョージ・D.バーコフとジョン・フォン・ノイマンがつくった論理。量子論理は,古典論理とは異なり,真と偽とのほかに無数の真理値をとる。たとえば,「一つの粒子 p がある領域 D の中に入っているかどうか」という問題を状態 x で考えると,量子力学では,(1) 状態 xpD の中にある,(2) 状態 xpD の外にある,(3) 二つのいずれでもない,となる。このため,「p が領域 D の中にある」という命題の真理値は,(1) 真,(2) 偽と,(3) 真でも偽でもない中間の値となり,古典論理の真と偽の二つの値を真理値としてもつ場合と違うことがわかる。なお,古典論理で成り立つ排中律A∨¬A」(A であるか A でないかのどちらかである),ド・モルガンの法則「¬(AB)=(¬A)∧(¬B),¬(AB)=(¬A)∨(¬B)」は量子論理でも成り立つが,分配則「A∧(BC)=(AB)∨(AC)」は成り立たない。さらに,量子論理には,「ならば」を意味する論理演算「⊃」がないという性質もある。

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