野郎帽子(読み)やろうぼうし

精選版 日本国語大辞典 「野郎帽子」の意味・読み・例文・類語

やろう‐ぼうし ヤラウ‥【野郎帽子】

〘名〙 野郎歌舞伎役者が額(ひたい)に置いた手拭(てぬぐい)が変化発達したもの。承応元年(一六五二)に若衆歌舞伎が禁ぜられ野郎歌舞伎となったが、その若衆前髪を落とした野郎頭の月代姿(さかやきすがた)を隠すために綿、または置手拭をした。これが前頭部に垂れる「びらり帽子」に変わり、元祿一六八八‐一七〇四)頃から紫縮緬で作った紫帽子、さらに当時の女形の工夫で、沢之丞帽子・あやめ帽子など多くの種類が生じた。
浮世草子・棠大門屋敷(1705)三「髪は地髪許りの多からぬをすき立て、仮曲の放し髻結、野郎帽子をかけたり」

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デジタル大辞泉 「野郎帽子」の意味・読み・例文・類語

やろう‐ぼうし〔ヤラウ‐〕【野郎帽子】

江戸時代野郎歌舞伎女形の役者が、前髪をそったあとを隠すために置き手拭てぬぐいをしたのが変化し、帽子のようになったもの。多く紫縮緬ちりめんなどで作った。

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世界大百科事典(旧版)内の野郎帽子の言及

【被り物】より

… 一方,布で頭を包む古くからの習風は,江戸時代に入ると,女子の被り物としての各種の帽子を生み出した。その代表的なものとしては,揚帽子,角帽子,野郎帽子,綿帽子がある。揚帽子は表は白,裏は紅絹の袷仕立てで,俗に白鷺と呼ばれた。…

※「野郎帽子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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