野尻湖(読み)のじりこ

精選版 日本国語大辞典 「野尻湖」の意味・読み・例文・類語

のじり‐こ【野尻湖】

長野県北部、信濃町にある湖。避暑地として知られる。湖面標高六五四メートル。面積約四平方キロメートル。ナウマンゾウ化石発掘で有名。芙蓉湖

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デジタル大辞泉 「野尻湖」の意味・読み・例文・類語

のじり‐こ【野尻湖】

長野県北部、信濃町にある湖。斑尾まだらお山によるき止め湖。面積4.4平方キロメートル。湖畔に外国人別荘村がある。昭和37年(1962)以来の発掘でナウマンゾウなどの化石が多数出土した。

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日本歴史地名大系 「野尻湖」の解説

野尻湖
のじりこ

長野県の北部、黒姫くろひめ山と斑尾まだらお山の間にある湖。標高六五四メートル、面積四・四平方キロ、周囲一七・五キロ、最深部三七メートル。一名芙蓉ふよう湖ともいう。湖の東方にある斑尾山(一三八一・八メートル)の噴出物でせきとめられてできた。湖岸は甚だ出入に富み、北から東へ樅が崎もみがさき松が崎まつがさき寺が崎てらがさき竜宮が崎りゆうぐうがさき琵琶が崎びわがさき砂間が崎すなまがさき大崎おおさき立が鼻たてがはなの岬が湖中に突き出し、湖中北部寄りに琵琶島がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「野尻湖」の意味・わかりやすい解説

野尻湖 (のじりこ)

長野県北部,上水内(かみみのち)郡信濃町にある湖。斑尾(まだらお)山(1382m)の溶岩流による堰止湖で,古くはその湖岸線の形から芙蓉湖といわれた。面積4.4km2,周囲17.5km,最深部37m。集水面積は小さいが,湖底からの湧水量が豊富なため貯水量は多い。湖岸には竜宮崎,琵琶崎など48の岬があり,湖中北西部には弁天島(琵琶島)があって,景観は変化に富んでいる。また妙高山,黒姫山など北信五岳の眺めもすばらしい。湖の南西岸の神山には,外国人別荘地があるほか,西岸にはホテル,旅館やYMCAのキャンプ場などがあり,夏には避暑,水泳,ヨットなどの客でにぎわう。信越本線黒姫駅からバス15分。途中に俳人小林一茶の旧宅がある。7月下旬の野尻湖祭には3000個の灯籠が流され,花火が打ち上げられる。
執筆者: 1962年,古生物学者井尻正二の提言により湖底の発掘が始まった。大衆発掘方式を用い,76年の第6次発掘からは日本各地に友の会組織が確立した。3年ごとに延べ1万人規模の湖底発掘と,その次年度ごとの野尻湖周辺の台地の陸上発掘が定期的に行われ,発掘されたナウマンゾウの化石などの遺物野尻湖ナウマンゾウ博物館に保管され,研究には広く門戸を開いている。この湖底の発掘によって,ナウマンゾウがウルム氷期まで生存し,日本で特殊化していたこと,ヤベオオツノシカとともに後期旧石器時代の狩猟対象であったこと,野尻湖が天然の狩猟・解体場であったことが知られている。約4万~3万年前の骨器文化から,ナウマンゾウの衰滅期にあたる杉久保型ナイフ形石器文化(約1万7000年前),さらに尖頭器文化を経て縄文草創期の土器をともなう細石器文化がきわだっている遺跡である。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「野尻湖」の意味・わかりやすい解説

野尻湖
のじりこ

長野県北端、新潟県境に近い上水内(かみみのち)郡信濃町(しなのまち)にある湖。芙蓉湖(ふようこ)ともいう。面積4.4平方キロメートル、周囲14キロメートル、最深部38メートル。標高657メートルに位置し、東方の斑尾山(まだらおさん)の噴出物でせき止められてできたもの。湖岸は出入りに富み、東岸は絶壁をなし、湖中に琵琶島(びわじま)が浮かぶ。湖岸を一周する道路があるが、北西部の一角に飲食店や旅館があるほかは森林に囲まれている。西岸に大正末期から軽井沢の俗化を嫌って移住してきた外国人宣教師たちの約260戸からなる別荘村があり、その周囲は別荘地として開発が進んでいる。西方には妙高、黒姫、飯綱(いいづな)の三火山がそびえ、妙高戸隠連山国立公園の一部となっている。なお、湖底や湖岸からはナウマンゾウなどの化石が多数発掘されていて、野尻湖ナウマンゾウ博物館がある。しなの鉄道北しなの線(旧、JR信越本線)黒姫駅からバスの便がある。

[小林寛義]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「野尻湖」の意味・わかりやすい解説

野尻湖
のじりこ

その形がフヨウの花に似ていることから芙蓉湖ともいう。長野県北部,黒姫山の東麓にある湖。県北端に位置することから,古くから信濃尻湖と呼ばれ,のちに野尻湖と略された。信濃町に属する。面積 4.4km2。周囲 14km。最大水深 37.5m。湖面標高 654m。東方にある斑尾 (まだらお) 山の噴出物によるせきとめと湖盆の沈下により形成された。湖中の琵琶 (弁天) 島はかつてのトロイデ型火山の山頂部にあたる。湖底からナウマンゾウの化石や先土器時代の遺物が発見された。湖畔は別荘や寮が多く,閑静な避暑地をなしている。また,湖の主とされる雌雄一対の大蛇と黒姫山の地震滝 (ないだき) の主の老いたカニの一族との伝説など,神秘的な伝説が多い。妙高戸隠連山国立公園に属する。

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百科事典マイペディア 「野尻湖」の意味・わかりやすい解説

野尻湖【のじりこ】

長野県北部の火山堰止(せきとめ)湖。芙蓉(ふよう)湖とも。標高657m。面積4.45km2。湖水は発電に利用され,水位の変化が大きい。湖岸から妙高・黒姫・飯縄(いいづな)の連山を望み,避暑地として著名。湖底からナウマンゾウの化石や縄文(じょうもん)時代などの遺物が発見されている。しなの鉄道黒姫駅からバス。
→関連項目信濃[町]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「野尻湖」の解説

野尻湖
のじりこ

古くは信濃尻湖とも。長野県北端に位置する面積約4km2の火山堰止(せきとめ)湖。湖中の琵琶(弁天)島には宇賀神社や上杉謙信輩下の武将の墓などがある。西岸の神山一帯は,大正年間に外国人が別荘地を開き,国際村とよばれるに至った。1948年(昭和23)湖底からナウマン象の化石が発見され,以来数次の発掘によって,氷河期の人々の生活が解明されつつある。出土品は野尻湖博物館に保存・展示されている。

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