普及版 字通 「里(漢字)」の読み・字形・画数・意味
里
常用漢字 7画
[字訓] さと・むら・まち
[説文解字]
[金文]
[字形] 会意
田+土。土は(社)の初文。里とは田社のあるところをいう。〔説文〕十三下に「居るなり」とあり、会意とする。〔伝〕に「一に曰く、土(ど)聲なり」とするが、声が合わない。〔書、酒誥〕に「越(ここ)にに在りては百僚庶尹、惟(こ)れ亞、惟れ、宗工と百姓里居」とあり、周初の金文〔令彝(れいい)〕に「、(あした)にに至り、命を出だして三事の命を舍(お)く。事寮(けいじれう)と尹と里君と百工と」とあり、〔酒誥〕の「里居」は「里君」の誤りである。里はのち行政の単位となり、条里・里数の意となるが、字の原義は田社のあるところ、そこを主宰するものを里君といった。君は古くは巫祝王などに用いた語である。国語の「さと」も、神聖な地域を意味する語であった。
[訓義]
1. さと、むら、田社を中心とした地。
2. まち。行政単位として周は二十五家、他に七十二家・百家など、時代により異なる。
3. ながさ。周制は三百歩の距離、のち三百六十歩。
4. さとに住む。
5. 裏・(り)と通用する。うち、うれい。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕里 サト・ヲリ・キル・コトハル・イヤシ
[部首]
〔説文〕〔玉〕に釐(り)・野の二字を属する。〔説文〕に釐を(り)声とするが、に釐治の意があり、字は里声である。
[声系]
〔説文〕に里声として理・俚・裏など九字を収める。俚(り)は聊頼。里の字義を承けるものはない。
[語系]
里・(吏)liは同声。里は田社のあるところ。は使して祭ることを原義とする字であるから、両者は語源的に関係があることも考えられる。閭・廬liaは声近く、閭(りよ)は里門、廬は里居をいう。理・釐liは釐治の意、通用することがある。
[熟語]
里尹▶・里詠▶・里魁▶・里▶・里耆▶・里君▶・里▶・里語▶・里▶・里▶・里宰▶・里司▶・里耳▶・里室▶・里社▶・里舎▶・里塾▶・里所▶・里胥▶・里仁▶・里人▶・里正▶・里俗▶・里中▶・里長▶・里程▶・里婦▶・里保▶・里民▶・里門▶・里落▶・里吏▶・里閭▶・里路▶・里老▶
[下接語]
一里・海里・街里・丘里・旧里・墟里・郷里・闕里・古里・故里・里・郊里・里・三里・市里・梓里・州里・条里・井里・千里・村里・廛里・田里・道里・万里・北里・野里・邑里・遊里・閭里・隣里
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報