酸化ヒ(砒)素(読み)さんかひそ(英語表記)arsenic oxide

改訂新版 世界大百科事典 「酸化ヒ(砒)素」の意味・わかりやすい解説

酸化ヒ(砒)素 (さんかひそ)
arsenic oxide

ヒ素の酸化物の総称。酸化数ⅢとⅤの化合物,三酸化二ヒ素と五酸化二ヒ素とが知られている。四酸化二ヒ素As2O4も存在するというが詳しいことはわかっていない。三酸化二ヒ素As2O3亜ヒ酸ともいわれる(〈亜ヒ酸〉の項参照)。

化学式As2O5。三酸化二ヒ素を濃硝酸で酸化してから蒸発乾固させ,250~300℃で脱水する。315℃以上で三酸化二ヒ素と酸素に分解する。比重4.09,白色無定形粉末。潮解性で,水に溶けてヒ酸を形成する。水溶液を濃縮して冷却すると,種々の条件によってH3AsO4・1/2H2O,H3AsO4・2H2O,As2O5・5/3H2Oの結晶が成長する。酸,アルカリ,エチルアルコールに溶ける。動物実験では毒性はAs2O3よりは弱いが取扱いには注意を要する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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