酬恩庵(読み)しゅうおんあん

精選版 日本国語大辞典 「酬恩庵」の意味・読み・例文・類語

しゅうおん‐あん シウオン‥【酬恩庵】

京都府京田辺市にある臨済宗大徳寺派の寺。山号は霊瑞山。正応年間(一二八八‐九三南浦紹明大応国師)が創建した妙勝禅寺に始まり、康正二年(一四五六)大徳寺の一休宗純が再興して現名称となる。寺宝に一休和尚の画像木像所蔵。また墓もある。薪の一休寺。薪寺。一休寺。

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デジタル大辞泉 「酬恩庵」の意味・読み・例文・類語

しゅうおん‐あん〔シウオン‐〕【酬恩庵】

京都府綴喜つづき郡田辺町たきぎにある臨済宗大徳寺派の寺。山号は霊瑞山。鎌倉後期に南浦紹明なんぽじょうみょう開山の妙勝寺を、康正2年(1456)に一休宗純が再興、入寂した所。一休の木像や画像がある。薪寺。一休寺。薪の一休寺。

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改訂新版 世界大百科事典 「酬恩庵」の意味・わかりやすい解説

酬恩庵 (しゅうおんあん)

京都府京田辺市にあり,臨済宗大徳寺派の別格本山。霊瑞山と号す。通称は一休寺。寺伝によれば,鎌倉後期,大応国師南浦紹明(なんぽしようみよう)がこの地に創建した妙勝寺にはじまる。そののち,大徳寺に育ちながら深く大応禅に私淑していた一休宗純が,妙勝寺の荒廃を嘆いて復興につとめ,1456年(康正2)堂宇落成,かたわらに大応の恩に酬(むく)いようと,その画像をまつって〈酬恩庵〉と名付けた庵を結んだ。当寺の寺号のはじまりである。そののち一休は,ときに諸方に留錫したこともあったが生涯のほとんどをここですごした。侘茶の始祖村田珠光,連歌師の宗長や宗鑑,猿楽の金春禅竹,絵師の曾我蛇足など,一休を慕う一流の芸術家が訪れて逗留し,一休に参禅したので,当寺は東山文化の一つの聖地のようになった。一休は1481年(文明13)ここで没し,遺骸は虎丘の〈慈楊塔〉に葬られ,いまもそのまま残る。近世の寺領は90石。現本堂室町時代の唐様仏殿の典型で,方3間,単層,入母屋造,檜皮葺き(ひわだぶき)。方丈庫裏,浴室,東司(とうす),鐘楼は近世初期の建築で,いずれも重要文化財。方丈奥の祠堂に安置される木造一休和尚座像は,死の前年に弟子の墨斎(ぼくさい)に作らせ,みずから鬚髪を植えたといわれて,一休晩年の風貌をよくしのばせ,墨斎筆一休和尚画像とともに重要文化財。また方丈の北側の枯山水の庭園は,石川丈山,松花堂昭乗,佐川田喜六の合作と伝えられる名園で,国指定名勝となっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「酬恩庵」の意味・わかりやすい解説

酬恩庵
しゅうおんあん

京都府京田辺(きょうたなべ)市薪(たきぎ)にある臨済(りんざい)宗大徳寺派の寺。一休(いっきゅう)寺の名で知られ、薪一休寺、妙勝寺、薪寺ともいう。山号は霊瑞山(りょうずいさん)。正応(しょうおう)年中(1288~93)に絶崖(ぜつがい)宗卓によって妙勝寺が開創され、南浦紹明(なんぽじょうみょう)を招いて開山とした。伽藍(がらん)は元弘(げんこう)年中(1331~34)に兵火にあい、いったん灰燼(かいじん)に帰したが、のち紹明の遺風を慕う一休宗純(そうじゅん)によって1456年(康正2)再興された。やがて一休はここに一草庵を結んで酬恩庵と名づけて隠棲(いんせい)した。入寂後、一休は門人によって寺内の塔に葬られた。本堂(国重要文化財)は小さいながら、1506年(永正3)の建立で、唐様(からよう)で変化に富んでいる。寺宝に一休禅師の木像・画像があり、後花園(ごはなぞの)天皇宸翰(しんかん)女房奉書とともに国重要文化財。また、方丈、唐門(からもん)、庫裡(くり)などが国重要文化財に、枯山水の方丈庭園と虎丘(こきゅう)庭園は国名勝に指定されている。

[平井俊榮]


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百科事典マイペディア 「酬恩庵」の意味・わかりやすい解説

酬恩庵【しゅうおんあん】

京都府京田辺市にある臨済宗大徳寺派の寺。本尊釈迦如来。鎌倉時代創建,室町時代に一休が再興したので薪一休寺と呼ばれ,一休の画像,木像がある。本堂は室町時代の禅宗仏殿の典型。酬恩庵庭園(名勝)がある。
→関連項目京田辺[市]

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