精選版 日本国語大辞典 「酔」の意味・読み・例文・類語
え・う ゑふ【酔】
〘自ハ四〙 (「よう(酔)」の古形)
① 酒によう。
※高遠集(1011‐13頃)「ころ舟にゑふ人ありと聞きつるはもたひに泊るけにやあるらん」
③ (魚肉やきのこを食べて)中毒する。
④ うっとりする。心を奪われる。
※竹取(9C末‐10C初)「猛く思ひつる宮つこまろも、物にゑひたる心地して、うつ伏しに伏せり」
⑤ 迷う。惑う。
よ・う よふ【酔】
〘自ワ五(ハ四)〙 (「えう(酔)」の変化した語)
① 酒を飲んで酒気が全身にまわる。酒を飲んで正常な状態でなくなる。酒を飲んで正気を失う。酩酊する。〔文明本節用集(室町中)〕
※浮世草子・好色二代男(1684)八「酔(ヨヲ)ふた㒵もせず見へける」
② 魚肉・キノコなどで中毒する。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※交隣須知(18C中か)一「水疾 トカイ シテキテ フネニ ヨウテ シノウト イタシマシタ」
④ 圧倒されて気持が悪くなる。のぼせたようになる。
※日葡辞書(1603‐04)「チニ yô(ヨウ)」
⑤ 魅力的なものに心を奪われる。魅せられる。うっとりする。また、正常な判断力、平静な気持を失う。
えい ゑひ【酔】
① 酒、乗物などに酔うこと。よい。
※宇津保(970‐999頃)祭の使「としごろ〈略〉きこえんと思ふこと、こよひゑひのついでにきこえむ」
※観智院本三宝絵(984)中「つひに無明の酔をさますべし」
※正治二度百首(1200)釈教「さとりえぬ浮世のゑひをさめぬ身にかりの情は誰れすすむとも〈源家長〉」
よい よひ【酔】
〘名〙 (動詞「よう(酔)」の連用形の名詞化) 酒などに酔うこと。酔ったこと。また、その状態。えい。
※天草本伊曾保(1593)女人と、大酒を飲む夫の事「yoino(ヨイノ) サメガタニ ヲヨウデ」
えわ・す ゑはす【酔】
〘他サ四〙 酔わせる。人を酔うようにする。
※宇津保(970‐999頃)楼上上「いみじう笑ひ給ひて〈略〉物もおぼえずえはし給へり」
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