酔いどれ船(読み)ヨイドレブネ(英語表記)Le Bateau ivre

デジタル大辞泉 「酔いどれ船」の意味・読み・例文・類語

よいどれぶね〔よひどれぶね〕【酔いどれ船/酩酊船】

(酔いどれ船)《原題、〈フランスLe Bateau ivreランボーによる長編韻文詩。1871年、著者17歳のときの作品で、ベルレーヌに絶賛された。自筆原稿は現存せず、ベルレーヌの筆写原稿により現代に伝わる。
酩酊船)森敦小説横光利一推薦により、昭和9年(1934)「東京日日新聞」に連載注目を集めた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「酔いどれ船」の意味・わかりやすい解説

酔いどれ船
よいどれぶね
Le Bateau ivre

フランスの詩人アルチュール・ランボーの長編韻文詩。1871年作。作者は当時17歳で、この詩を携えパリに出て、ベルレーヌを驚嘆させ、その筆写原稿により今日に伝えられる。12音節4行詩節全100行。乗組員を失っていっさいから解き放たれ、漂流物となった貨物船そのものが「私」である。その詩法が、非人称的、かつ、きわめて動的な見者(ボアイヤン)の視点を可能にしている。大海、すなわち未知の世界の壮大、華麗、怪奇なイメージに酩酊(めいてい)する「私」の自由の極限に相接して、死が鋭くその姿をのぞかせる。近代詩運命軌跡をも開示する傑作である。他の訳名には『酩酊船』『酩酊の船』『酔っぱらいの舟』など。

[中安ちか子]

『清岡卓行訳『ランボー詩集』(1968・河出書房新社)』『堀口大学訳『ランボー詩集』(新潮文庫)』

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