精選版 日本国語大辞典 「酒井田柿右衛門」の意味・読み・例文・類語
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肥前有田の陶工で,江戸前期から今日まで,14代にわたって独特の色絵磁器を焼く。初代柿右衛門(生没年不詳)は,正保(1644-48)ころ,明の五彩磁の技法を日本ではじめて完成したといわれている。酒井田家は有田皿山の中心部から離れた南川原(なんがわら)山に窯を築き,伊万里焼とは性質を異にする上質の色絵磁器を焼成した。濁手(にごしで),乳白手などといわれる純白の白磁に,赤,青,青緑,黄,紫などの色絵具を用いて花鳥人物文などを描いた色絵磁器(赤絵)は,柿右衛門様式として知られている。しかし歴代の柿右衛門が,その柿右衛門様式の色絵磁器の完成にどのようにかかわったのか,明らかにする資料はない。色絵磁器は,17世紀中ごろからオランダ商人の手でヨーロッパに輸出され,マイセン窯など各地の色絵磁器の発展に大きな影響をあたえたが,柿右衛門様式の色絵磁器も,輸出向けの生産を通じて急速に完成度を高めていったようである。酒井田家が有田の陶工を代表する家柄として名声を得たのは,18世紀初めころのことで,柿右衛門様式の色絵は,以来幕末に至るまで焼かれたと思われる。濁手白磁は,12代柿右衛門によって復元され,伝統技術として重要文化財総合指定を受けた。
→有田焼
執筆者:西田 宏子
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肥前国有田の伊万里(いまり)焼の代表的陶工の家系。とくに初世が色絵の創始者として有名。先祖は筑後国上妻郡出身といわれ,初世の父円西は元和年間に有田に移住し,製陶を行ったと伝える。初世柿右衛門は喜三右衛門(きざえもん)と称し,1647年(正保4)以前,伊万里の商人東島徳左衛門の援助をうけて,白磁胎に色絵付する技法を中国人に学んで成功。しかし歴代の作風は明確でなく,いわゆる柿右衛門様式とよばれる色絵磁器は,柿右衛門1人の作ではなく,伊万里焼の陶工たちの技の結晶であることが,近年の考古学調査で明らかとなった。
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…清朝の成立とともに康熙・雍正・乾隆期には粉彩と呼ぶ精緻な五彩磁が作られ,よりいっそう絵画的な表現を展開していった。 日本では江戸時代の初期,1646‐47年(正保3‐4)ころ酒井田柿右衛門が中国の技法によって赤絵を完成したと伝える。その後,伊万里磁器は寛文~元禄期(1661‐1704)に全盛期を迎え,柿右衛門様式,古伊万里様式,鍋島様式,古九谷様式などが確立され,また遠く西欧に輸出されて,18世紀前期にはドイツのマイセン窯で色絵磁器を生んだ。…
※「酒井田柿右衛門」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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