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中国,後漢の学者。字は康成,北海高密(山東省)の人。洛陽に遊学して太学で第五元の教えをうけ,また東郡の張恭祖について学び,さらに馬融に7年間師事し,郷里に帰ったときは40歳をすぎていた。清貧をよしとして,農業を営みながら諸生に教授したという。その学徳を慕って来たり学ぶ者は1000人に達している。権勢には近づかず朝廷や貴戚の徴召を断ってひたすら研究に専念した〈純儒〉である。
漢代経学の集大成者であり,すこぶる業績にとむ。しかし独自の新説には乏しく,功績は組織的な計画のもとに諸説を折衷した,いわば整理事業にある。不思議なことに,権力をかたくなに避けた高潔な人格であるのに,その経書解釈には,支配階級のイデオロギーが色濃くただよう。彼の注釈した三礼(《周礼(しゆらい)》《儀礼(ぎらい)》《礼記(らいき)》)が東晋以後学官に立てられ,絶対的な支持をえたことはその傍証となろう。《詩経》の注も,宋の朱子の新注が現れるまで,10世紀の間,唯一の権威ある注釈とされた。このほか《周易》《尚書》《論語》《孝経》など,ほとんどすべての経伝に注釈を施し,《六芸論》《駁五経異義》などを著し,精緻で該博な〈兼綜の学〉そのものである。その本領は礼にあり,三礼の注は心血をそそいだ力作であるが,《周礼》を中心に《儀礼》《礼記》を関連させ,学説を調和して,礼の強固な体系化をはかっており,〈礼は是れ鄭学〉とさえ称される。
執筆者:日原 利国
→鄭玄(じょうげん)
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127~200
後漢の文献学者。高密(山東省高密県)の人。馬融(ばゆう)に師事。古文を主として,今文(きんぶん)・古文の諸説を折衷統一し,訓詁学(くんこがく)上偉大な功績を残した。代表作『三礼注』『毛詩鄭箋』。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…中国,後漢の学者。字は康成,北海高密(山東省)の人。洛陽に遊学して太学で第五元の教えをうけ,また東郡の張恭祖について学び,さらに馬融に7年間師事し,郷里に帰ったときは40歳をすぎていた。清貧をよしとして,農業を営みながら諸生に教授したという。その学徳を慕って来たり学ぶ者は1000人に達している。権勢には近づかず朝廷や貴戚の徴召を断ってひたすら研究に専念した〈純儒〉である。 漢代経学の集大成者であり,すこぶる業績にとむ。…
…著書に《五経異義》10巻があるが,すでに滅んだ。ただ同じ後漢の鄭玄(じようげん)に《駁五経異義》の著があり,これも滅んだが,許慎の説をあげて反駁する形をとっているため,逸文によって両者の説の一斑をうかがうことはできる。《説文解字》15編は,漢字の字形からの分析を体系的に行った最古の字書である。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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