鄭振鐸(読み)ていしんたく(英語表記)Zhèng Zhèn duó

精選版 日本国語大辞典 「鄭振鐸」の意味・読み・例文・類語

てい‐しんたく【鄭振鐸】

中国文学者欧州に留学後、創作・翻訳にはげみ「小説月報」「文学周報」などを編集、新文学の育成につとめた。また、近世口語文学の研究にもすぐれる。著に「中国俗文学史」「中国文学論集」など。(一八九七‐一九五八

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デジタル大辞泉 「鄭振鐸」の意味・読み・例文・類語

てい‐しんたく【鄭振鐸】

[1898~1958]中国の文人・文学研究者。浙江省永嘉県の人。筆名は西諦など。瞿秋白くしゅうはくらと「新社会」を創刊し、のち文学研究会結成に尽力。著「挿図本中国文学史」「中国俗文学史」など。チョン=チェントゥオ。

チョン‐チェントゥオ【鄭振鐸】

ていしんたく(鄭振鐸)

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改訂新版 世界大百科事典 「鄭振鐸」の意味・わかりやすい解説

鄭振鐸 (ていしんたく)
Zhèng Zhèn duó
生没年:1898-1958

中国の作家,古典文学研究者,蔵書家。字は西諦。浙江省永嘉県に生まれる。上海商務印書館編訳所で茅盾と知り,1921年ともに文学研究会の発起人となる。以後《文学周報》《小説月報》等文学研究会系の雑誌の編集を務め,散文,小説,翻訳等に健筆を振るった。また何種かの膨大な文学史を編写したが,資料羅列のきみがあり史観に乏しい。しかし資料収集には定評があり,集めた古典籍はのちに《西諦書目》(1963)として整理された。とくに小説戯曲など俗文学での収穫がすぐれる。抗日戦以後は民主人士として活躍。中華人民共和国成立後は政治協商会議委員,文化部副部長の職にあったが,58年飛行機事故で死亡。著作は多く単行本のほか《鄭振鐸文集》(1959)がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鄭振鐸」の意味・わかりやすい解説

鄭振鐸
ていしんたく / チョンチェントゥオ
(1898―1958)

中国の文学者。筆名は西諦など。12月19日、浙江(せっこう)省永嘉生まれ。1917年北京(ペキン)鉄路管理学校入学。在学中『新社会』等を創刊、社会主義に傾倒した。21年文学研究会結成に際し中心的役割を果たし、同会機関紙『文学』旬刊(のち『文学週報』)の主編を担当。23年より31年まで茅盾(ぼうじゅん)の後を継いで『小説月報』の主編を務めた。その後、燕京(えんきょう)大学ほかで教鞭(きょうべん)をとるかたわら、34年『文学』などを編集、数多くの作家を世に出した功績は大きい。抗日戦争中は許広平らと復社を組織。解放後は、文化部副部長、作家協会理事などの要職にあったが、58年10月17日飛行機事故で死亡。主著は、ギリシア神話に題材を得た短編小説集『取火者の逮捕』(1934)ほか、『文学大綱』(1929)、『中国文学論集』(1934)など多数。『鄭振鐸文集』(1959)が出版されている。

[白水紀子]

『安藤彦太郎・斎藤秋男訳『書物を焼くの記――日本占領下の上海知識人』(岩波新書)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鄭振鐸」の意味・わかりやすい解説

鄭振鐸
ていしんたく
Zheng Zhen-duo

[生]光緒24(1898).12.19.
[没]1958.10.17.
中国の文学史家。福建省長楽の人。筆名は西諦,郭源新など。 1919年瞿秋白 (くしゅうはく) らと雑誌『新社会』を創刊,21年茅盾 (ぼうじゅん) らと「文学研究会」を結成,その機関誌『小説月報』や,『文学季刊』『世界文学』などの編集にあたり,多くの作家を世に出した。一方上海の曁南 (きなん) 大学などで教壇に立ち,文学史の研究に従事。抗日戦争中は上海にとどまり,戦後は週刊誌『民主』に拠って国民党を批判し,人民共和国政府に参加。文化部文物局長,科学院考古研究所長などの要職にあったが,飛行機事故で死亡。主著『文学大綱』 (1927) ,『中国文学史』 (34) ,『蟄居散記』 (51,邦訳『書物を焼くの記』) 。翻訳にインドの詩人タゴールの『新月集』などがある。

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百科事典マイペディア 「鄭振鐸」の意味・わかりやすい解説

鄭振鐸【ていしんたく】

中国の文学史家,考古学者。文学研究会の発起人の一人で,また《小説月報》はじめ多くの雑誌を編集した。著書に《挿図本中国文学史》《中国文学研究》がある。また日本占領下の上海体験を描いた《蟄居(ちっきょ)散記》は邦訳《書物を焼くの記》として知られる。

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