郡(漢字)

普及版 字通 「郡(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

[字音] グン
[字訓] こおり

[説文解字]

[字形] 形声
声符は君(くん)。君はもと巫祝長、のち里君とよばれるような、村落の統治者であった。〔説文〕六下に「の制、天子は地、方千里ちて百縣と爲し、縣ごとに四郡り」とみえ、〔左伝、哀二年〕「上大夫は縣を受け、下大夫は郡を受く」とあって、県大郡小の制であった。起原的にいえば、古い氏族制時代に女巫や里君の治めていたものが、のちの領土国家の中で郡として存置されたものであろう。斉器の〔叔夷(しゆくいはく)〕に「縣三百」、〔(そはく)〕に「邑二百又九十又九邑」を賜うことがみえ、県・邑はもと同じ程度の規模であった。県とは直轄地、邑は采邑であろう。郡・邑・県はいずれも古い氏族国家のなごりで、その支配形態によって、それぞれの名でよばれたものと思われる。金文に郡の名はみえず、〔左伝〕に至ってその名がみえる。いわゆる郡県の制は、秦に至って定まった。秦は天下を三十六郡に分かち、その下に県をおいた。

[訓義]
1. こおり、ぐん。
2. 郡の役所、つかさ。

[古辞書の訓]
名義抄〕郡 クニ・コホリ 〔立〕郡 クニ・コホリ・サカヒ・ムラガリ・ムラガル

[語系]
郡・群・giun、垠ngin、(近)ginは声義に関係のある語と考えられ、郡には、一定区域内に人の密集する意があるようである。

[熟語]
郡尉・郡王・郡下・郡君・郡県・郡公郡侯・郡国・郡佐・郡斎郡倅郡宰郡守・郡主郡庠・郡将郡丞・郡城郡姓郡属・郡中・郡庁・郡長郡邸・郡内・郡馬郡伯郡符・郡望郡牧
[下接語]
一郡・遠郡・海郡・外郡・挙郡・近郡・建郡・兼郡・古郡・国郡・受郡・州郡・巡郡・小郡・属郡・大郡・治郡・中郡・典郡・入郡・僻郡・辺郡

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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