遺民(読み)いみん

精選版 日本国語大辞典 「遺民」の意味・読み・例文・類語

い‐みん ヰ‥【遺民】

〘名〙 前の王朝または前の天子の代の時から生き残っている民。昔の遺風を伝えている人々。また、主君が滅んだ後、義を守って他の朝廷に仕えない民。
※和漢朗詠(1018頃)下「再三汝を憐れぶこと他の事に非ず、天宝の遺民は見るに漸く稀らなり〈白居易〉」 〔春秋左伝‐閔公二年〕

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デジタル大辞泉 「遺民」の意味・読み・例文・類語

い‐みん〔ヰ‐〕【遺民】

君主や王朝が滅びたのちも生き残って、遺風を伝えている民。また、旧主が滅びても、節を持して、新しい君主に仕えない者。
なんじ等明朝の―か、た又た清朝の忠臣か」〈独歩愛弟通信

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普及版 字通 「遺民」の読み・字形・画数・意味

【遺民】い(ゐ)みん

生き残り。亡国の民。〔左伝、閔二年〕狄、衞に入る。~に濟(わた)る。衞の民、男女七百三十人なり。

字通「遺」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の遺民の言及

【宋詩】より

…その中で,《三体詩》の編集に見られるように,唐詩ことに晩唐風の淡泊な詩が復活する傾向が見られる。江湖派の詩人は,南宋が滅ぶと,モンゴルへの抵抗の意味もこめて,遺民と呼ばれる隠逸詩人に移行する。抵抗の英雄である文天祥の悲壮な詩は,宋詩の末路を飾るものであった。…

※「遺民」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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