道学(読み)ドウガク(英語表記)dào xué

デジタル大辞泉 「道学」の意味・読み・例文・類語

どう‐がく〔ダウ‐〕【道学】

道徳を説く学問。また、道徳を学ぶこと。
儒学。特に、中国宋代の朱子学宋学
江戸時代心学しんがくのこと。
道家の学問。道教

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精選版 日本国語大辞典 「道学」の意味・読み・例文・類語

どう‐がく ダウ‥【道学】

〘名〙
① 人の歩むべき道と学問。
※集義和書(1676頃)二「文盲にして道学のわきまへもなき武士は」 〔論衡‐量知〕
② 老子・荘子などの道家の学。〔隋書‐経籍志三〕
③ 宋代、二程子、朱子などにより提唱された新儒学の称。宋学。朱子学。
※十善法語(1775)五「宋儒の道学性理まで」
仏教の教理に関する学問。
太平記(14C後)二四「道学の者に三機あり」
修道修学。仏教の修業と学問の習得。
空華日用工夫略集‐至徳元年(1384)八月七日「明応西堂空谷、道学兼備、天性会禅、真叢林飽参、而近代本色衲子也」
⑥ 江戸時代、庶民の処世道徳を説いた石門心学の別称

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改訂新版 世界大百科事典 「道学」の意味・わかりやすい解説

道学 (どうがく)
dào xué

中国,北宋時代に再興された新儒教。この〈道〉は老荘思想でいう道ではなく,先王や聖人によって定められ,歴代伝達されてきたとされる人倫の道をいう。《宋史》道学伝に名をとどめる道学者たちは,熱烈な理想主義,真摯(しんし)な内省主義,潔癖な倫理主義などを信条として,宇宙と人間ととを貫く理法やあるべき人間社会のあり方を追求した。道学者の一人である張載横渠(おうきよ))の次の言葉は,この派の性格をよく表現しえている。〈天地のために心を立て,生民のために道を立て,去聖のために絶学を継ぎ,万世のために太平を開かん〉(《近思録》為学大要篇)。北宋の道学は,二程子(程明道程伊川),楊時(亀山),羅従彦(予章),李侗(りとう)(延平)をリレーして南宋朱熹(しゆき)(子)に受けつがれ,朱子学として大成された。しかし道学者は,その厳格主義によって〈非人情〉というそしりを受け,また一般には一種エキセントリックな人間とみなされていたのも事実であって,のちに〈道学者先生〉は,世間知らずで融通がきかず,修身道徳の権化のような人間の代名詞になった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「道学」の意味・わかりやすい解説

道学
どうがく
Dao-xue

中国,宋の新儒学の別称。性理学,理学,理気心性の学などともいう。程頤 (ていい) はすでに道学の語を用い,また朱子は,経書の訓詁義理を明らかにするのみの漢唐の経学と区別して,周敦頤,二程子以来の新儒学を道学と呼び,道統を強調した。『宋史』が,経学者の伝記を儒林伝とし,いわゆる程朱学の系譜に連なる人々の伝記を道学伝として区別するにいたり,道学の名が確定した。また,道教,心学の別称として用いることもある。

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普及版 字通 「道学」の読み・字形・画数・意味

【道学】どう(だう)がく

道義の学。また、儒学。宋・朱熹〔中庸章句の序〕中庸は何爲(なんす)れぞ作られしや。子思子、學の、其の傳を失はんことを憂へて、作れるなり。

字通「道」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の道学の言及

【朱子学】より

…中国,南宋の朱熹(しゆき)(子)によって集大成された思想体系。朱熹自身は自己の教義を〈道学〉〈理学〉〈聖学〉〈実学〉〈義理の学〉などと呼んだ。これらは本来,北宋時代に興った新儒教の一派の自称であって,朱熹はその教義のもっとも正統な後継者をもって自任していたのである。…

※「道学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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