過怠牢(読み)カタイロウ

デジタル大辞泉 「過怠牢」の意味・読み・例文・類語

かたい‐ろう〔クワタイラウ〕【過怠×牢】

江戸時代刑罰の一。本刑の代わりに牢に入れたもの。

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精選版 日本国語大辞典 「過怠牢」の意味・読み・例文・類語

かたい‐ろう クヮタイラウ【過怠牢】

〘名〙 江戸時代の刑罰の一つ。罪を償うために本刑にかえて入牢させること。古くは、田畑永代売買の禁令を犯した買い主、または証人などに科せられたが、御定書では、幼年者、女が敲(たたき)に当たる罪を犯した時に科せられた。
※禁令考‐後集・第四・巻三六・寛政元年(1789)九月「入墨重敲に相当り候ものは、入墨之上百日過怠牢申付」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「過怠牢」の意味・わかりやすい解説

過怠牢
かたいろう

江戸時代の刑罰の一つで一定期間牢屋に囚禁すること。特に『公事方御定書』以降の過怠牢は,14歳以下幼者女性が「敲 (たたき) 」刑に相当するときその換刑として,本刑の軽重に従い最高 100日の入牢を科するものであった。

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世界大百科事典(旧版)内の過怠牢の言及

【禁獄】より

…鎌倉幕府法の中には,他人を打擲した凡下(ぼんげ)(一般人)身分の輩は60日間禁獄するというように囚禁日数を明記したものもある。江戸幕府も禁獄を刑罰としていたが,名称は過怠牢(有期)と永牢(終身刑)を内容とする入牢(にゆうろう)という語に変化した。明治時代には,1880年(明治13)7月公布の刑法に禁獄が懲役とならぶ主刑として規定されていたが,1907年廃止された。…

【敲】より

…打つ回数によって五十敲(敲,軽敲(かるきたたき))と百敲(重敲)の別があった。庶民男子にのみ科し,武士・僧侶には適用せず,女子については過怠牢(かたいろう)の刑に換えた。単独で軽い盗犯や博奕(ばくち)犯などに科せられたほか,二重御仕置(にじゆうおしおき)(敲のうえ追放,敲のうえ所払(ところばらい),入墨のうえ敲)もあり,適用の頻度は高かった。…

【牢屋】より

…(1)有罪判決(とくに遠島(えんとう)刑)を受けた者を,刑の執行(出船)まで拘置する場所としての機能。(2)永牢(ながろう),過怠牢(かたいろう)という,幕府の法体系の外に,いわば例外的にのみ存在した禁錮刑を執行する場所としての機能。永牢とは無期禁錮の刑で,死刑,遠島に相当するものが自訴した場合や,諸藩で遠島刑に用いるべき島がないときに,遠島に代わる刑として採用すべきものとされた刑罰であるが,費用がかさむうえ,受刑者が他の未決囚に悪影響を及ぼすため,あまり適用されなかった。…

※「過怠牢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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