過差(読み)カサ

デジタル大辞泉 「過差」の意味・読み・例文・類語

か‐さ〔クワ‐〕【過差】

分に過ぎたこと。分不相応なおごり。ぜいたく。
「―殊の外に好ませ給ひて、大饗せさせ給ふに」〈大鏡伊尹

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精選版 日本国語大辞典 「過差」の意味・読み・例文・類語

か‐さ クヮ‥【過差】

〘名〙
① 度を過ごすこと。度を越して華美であったり、ぜいたくであったりすること。
九暦‐九条殿記・大臣大饗・天暦七年(953)正月五日「件事似過差、可停止」 〔嵆康‐与山巨源絶交書〕
測定などして出た値と実際の値との差。誤差
暦象新書(1798‐1802)上「歴代諸名家の測も、未だ過差なきこと能はじ」

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普及版 字通 「過差」の読み・字形・画数・意味

【過差】か(くわ)さ

程度をこす。魏・康〔山巨源(濤)に与へて交はりを絶つ書〕阮嗣宗(籍)は、口に人のちを論ぜず。~至性人にぎ、物の與(ため)に傷つくこと無し。唯だ飮酒差なるのみ。

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世界大百科事典(旧版)内の過差の言及

【ばさら】より

…〈ばさら〉の語が文献に現れた早い例には,1270年(文永7)ころの成立と見られる狛朝葛(こまあさかつ)の音楽書《続教訓抄》の記事があり,音楽・舞楽において,本式の拍子から外れて自由に目立つように演ずる形式のことをさしている。また,室町幕府の発足時,1336年(延元1∥建武3)に足利尊氏が出した政治要綱《建武式目》の第1条では倹約を諭し,近ごろ〈婆佐羅(ばさら)〉といって〈過差(かさ)〉を好む風潮が際だっているのを深く戒めている。〈過差〉とは,平安時代以来,〈度を越えた,身分の格差を軽視ないしは無視した華美・贅沢さかげん〉の意味で用いられていた語であるが,その語義が〈ばさら〉に受けつがれて,南北朝の動乱期の美意識や価値観を端的にあらわす流行語となり,扇,団扇,絵馬などの奔放な画風の絵を〈ばさら絵〉(《太平記》),派手な伊達扇(だておうぎ)を〈ばさら扇〉(二条河原落書)などといってもてはやしたし,また,近江の大名の佐々木高氏(道誉)とその一族のような熱狂的ともいうべき〈ばさら〉愛好の武家たちも続出していた。…

※「過差」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」