過凝固状態と神経障害

内科学 第10版 「過凝固状態と神経障害」の解説

過凝固状態と神経障害(血液疾患に伴う神経系障害)

(9)過凝固状態と神経障害
 過凝固状態(hypercoagulable state)とはさまざまな原因・病態血液凝固が亢進している状態で,先天性にはアンチトロンビン欠乏症,プロテインC欠乏症,プロテインS欠乏症,第Ⅴ因子欠乏症による活性プロテインC抵抗症,後天性には抗リン脂質抗体症候群などがある.
 この過凝固状態では神経障害として脳梗塞を起こし,特に若年者の脳梗塞の基礎疾患として重要である.過凝固状態の患者では深部静脈血栓症,肺血栓症,脳静脈血栓症などの静脈血栓と脳梗塞,心筋梗塞,末梢動脈閉塞症などの動脈血栓症の両方が起こる.脳梗塞には深部静脈血栓症に起因する塞栓が,残存する卵円口を経由して起こる奇異性塞栓も含まれる.これらの血栓・塞栓症は高血圧,動脈硬化など脳卒中の一般的な基礎疾患のない若年にも起こり,また繰り返すことも特徴である.診断は発症年齢,脳卒中の家族歴を慎重に調べ,最終的には凝固因子の蛋白量,活性,遺伝子変異を調べる必要がある.[有村公良]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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