運賃延戻し制(読み)うんちんのべもどしせい(英語表記)deferred rebate system

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「運賃延戻し制」の意味・わかりやすい解説

運賃延戻し制
うんちんのべもどしせい
deferred rebate system

一定航路における荷物を一定期間,海運同盟加盟船だけに積んだ場合,その期間の運賃総額の一定割合を割戻し金として荷主に払戻す制度。その期間が経過したのちにまず半額を払戻し,さらに一定期間引続いて同盟船だけに荷物を積んだ場合に残り半額を払戻す仕組みなので,荷主が割戻し金の全額の払戻しを受けるためには,2つの期間を一貫して同盟船だけに荷物の運送を委託しなければならない。第1の期間が計算期間,第2の期間が留保期間と呼ばれる。海運同盟の強力な排他手段の一つで,盟外船対策として,契約運賃制や運賃切下げ,闘争船の配船などと併用されることがある。日本,アメリカの独占禁止法では違法とされるため,アメリカ積揚運賃同盟にはこの制度はなく,日本積みヨーロッパその他への運賃同盟にも認められていないが,ヨーロッパ積み極東揚げ,ヨーロッパ相互間では存続している。なお,運賃延戻し制に対して,同盟に忠誠な荷主に対して即時あるいは期末に割戻す制度 direct rebate systemがあり,この割戻し制度は日本でも認められている。

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