(読み)ユウ

デジタル大辞泉 「遊」の意味・読み・例文・類語

ゆう【遊】[漢字項目]

[音]ユウ(イウ)(漢) (呉) [訓]あそぶ
学習漢字]3年
〈ユウ〉
あちこち出歩いてあそぶ。「遊歩遊覧清遊
よその土地に出かける。「遊学遊子遊説ゆうぜい外遊周遊西遊せいゆう・さいゆう曽遊そうゆう漫遊歴遊
楽しみにふける。「遊戯遊客遊興遊蕩ゆうとう遊里豪遊
働きをしない。職に就かずぶらぶらする。「遊金遊民・遊休地」
位置を定めず自由に動き回る。「遊軍遊撃遊星遊牧遊離
野球で、「遊撃手」の略。「三遊間
(「」の代用字)およぐ。水上を動き回る。「遊泳回遊
〈ユ〉あちこち歩く。よその土地に出かける。「遊行ゆぎょう遊山
[名のり]なが・ゆき
[難読]糸遊いとゆう

ゆ【遊】[漢字項目]

ゆう

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「遊」の意味・読み・例文・類語

あそ・ぶ【遊】

[1] 〘自バ五(四)〙
[一] 興のおもむくままに行動して楽しむ。神事に伴う舞楽を行なうことがもとといわれるが、広く楽しむ行動をいうようになり、現代では、多く子どもが遊戯する、おとなが運動、行楽、遊興などすることをいう。
① 思うことをして心を慰める。遊戯、酒宴、舟遊びなどをする。
※万葉(8C後)一七・三九九一「いや年のはに 思ふどち かくし安蘇婆(アソバ)む 今も見るごと」
※源氏(1001‐14頃)東屋「碁打ち韻ふたぎなどしつつあそび給ふ」
② 詩歌、管弦、舞などを楽しむ。遊楽をする。
※竹取(9C末‐10C初)「此程三日うちあげあそぶ」
③ (鳥獣、魚などが)楽しそうに動きまわる。
古事記(712)下・歌謡「潮瀬の 波折(なを)りを見れば 阿蘇比(アソビ)来る 鮪(しび)が鰭手(はたで)に 妻立てり見ゆ」
④ いつもいる所を離れて、広い場所で気楽に歩きまわって楽しむ。
※書紀(720)雄略即位前一〇月(図書寮本訓)「郊野に逍遙(アソビテ)
⑤ 学問を修めたり、見聞をひろめたり、さらには、気晴らしなどの目的で他の土地に行く。遊学する。
※中華若木詩抄(1520頃)下「ともに洞庭にあそびての詩也」
⑥ 料亭、遊里などに行って楽しむ。酒色などにふける。遊興する。
洒落本・中洲の花美(1789)小通の登楼「丁字屋であそんで来たが、中の町も半分の余出来たの」
[二] 仕事、勉強、働きなど、期待される生産的効果を果たしていない状態にある。
① 仕事や勉強をしないで、また、職が得られないでぶらぶらしている。上の学校にはいれないで、浪人することにもいう。
狂言記・緡縄(1660)「いや、あそんでさへをれば、なをりまする」
当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉二「常はぶらぶら遊(アソ)んで計(ばかり)居て、試験に優等の点をとるし」
② 金、道具、場所などが使われないでいる。
※今昔(1120頃か)一一「王、然れば、一の遊ぶ所の閑なる、令見(みしめ)給へば、童子、其を定(さだめ)つ」
怪談牡丹燈籠(1884)〈三遊亭円朝〉一八「誠に商人抔(なぞ)は遊んだ金は無(ない)もので」
③ 工学上、応力を受けるはずの物がそれを受けていなかったり、付着するはずの物がしていない状態になる。〔改訂増補日本建築辞彙(1931)〕
④ 本気で立ち向わず、わざと気を抜いた態度をとる。野球で、投手に有利な条件の時、打者の打ち気をそらすために、ボールになる球を投げるなどはその一例。
[2] 〘他バ四〙
① (楽器や曲名を目的語にして) 舞楽を行なう。奏する。
※古事記(712)中「我が天皇、猶其の大御琴阿蘇婆(アソバ)せ」
② 人をからかう。もてあそぶ。
滑稽本東海道中膝栗毛(1802‐09)二「いまいましい。けっくあっちにあそばれた」

あそび【遊】

〘名〙 (動詞「あそぶ(遊)」の連用形の名詞化)
① 思うことをして心を慰めること。狩猟、酒宴や行楽、遊戯などで楽しむこと。
※万葉(8C後)五・八三五「春さらば逢はむと思(も)ひし梅の花今日の阿素毗(アソビ)にあひ見つるかも」
梁塵秘抄(1179頃)二「あそびをせんとや生まれけむ、たはぶれせんとや生まれけん」
② 詩歌、管弦、舞などを楽しむこと。
※書紀(720)天智九年・歌謡「打橋の つめの阿素弭(アソビ)に 出でませ子」
※源氏(1001‐14頃)明石「をりをりの御あそび、その人かの人の琴、笛、もしは声の出でしさまに」
※十巻本和名抄(934頃)一「遊女 夜発附 楊氏漢語抄云遊行女児〈宇加礼女 一説云阿曾比〉」
※源氏(1001‐14頃)澪標「あそびどものつどひ参れる」
④ からかったり、もてあそんだりする対象。なぐさみもの。おもちゃ。
※洒落本・南江駅話(1770)「のって来たを連れて来て、おいら三人が遊びにするのだ」
⑤ 賭け事や酒色にふけること。遊里、料亭などで楽しむこと。遊興。
※雑俳・柳多留‐一二(1777)「あそびでは無いと四ツ手の直をねぎり」
⑥ 仕事や勉強の合い間の休憩。「あそびの時間」
⑦ しまりのないこと。たるみ。
※総会屋錦城(1958)〈城山三郎〉一「面長な顔は肉にあそびがなく木彫のようにしまっている」
⑧ 生活上の仕事などにあくせくしないで、自分のしたいことを楽しむこと。気持にゆとりを持つこと。また、文学などで、人生から離れた美の世界を追究すること。
※あそび(1910)〈森鴎外〉「あらゆる為事に対する『遊び』の心持が、ノラでない細君にも、人形にせられ、おもちゃにせられる不愉快を感じさせたのであらう」
⑨ 機械の連動作用がすぐに伝わらないで、多少のゆとりがあること。機械の結合部分がぴったり付いていないで、いくらか動く余地のあること。
※無関係な死(1961)〈安部公房〉「鍵をまわす音、ノブのあそび、ドアの蝶番のきしみ」
⑩ 織機で、緯(よこいと)を通す梭(ひ)の道をつくるために、綜(あぜ)の中で経(たていと)をまとめる糸。かざり。かけいと。あぜいと。あやいと。
※東雅(1717)九「綜(へ)〈略〉即今俗にもへといひ、又はアヤともアソビなどともいふなり」

あそば‐・す【遊】

[1] 〘連語〙 (動詞「あそぶ(遊)」の未然形に、上代の尊敬の助動詞「す」の付いた語) 狩猟、歌舞、音楽、遊楽などをなさる。お遊びになる。
※古事記(712)中「恐(かしこ)し、我が天皇、猶其の大御琴阿蘇婆勢(アソバセ)〈阿より勢までは音を以ゐよ〉」
[2] 〘他サ五(四)〙
[一] ((一)が一語化した語)
① 詩歌を詠じたり、音楽を奏したりする意の尊敬語。
※大和(947‐957頃)一五一「帝(みかど)、『立田川もみぢみだれてながるめりわたらば錦中や絶えなむ』とぞあそばしたりける」
※平家(13C前)五「御琵琶あそばされけるところに」
② (広く用いて) いろいろの物事をする意の尊敬語。
※宇津保(970‐999頃)内侍督「かねまさはみさごをつかうまつり、そなたには中島のほどよりにあそばししに、この御鷹は」
※平家(13C前)四「御手跡うつくしうあそばし、御才学すぐれて在(まし)ましければ」
③ (自動詞のように用いて) ある動作をする意の尊敬語。
※浮世草子・傾城禁短気(1711)四「やり手にも、ずいぶん色をさとられぬやうにあそばしませ」
④ 動詞の前に付いて複合語をつくり、その動作をする人に対する敬意を表わす。
※草根集(1473頃)一「疵を求の世中候得ば、あそはしかへられ候へかし」
[二] 補助動詞として用いられる。多く動作性の語に付いて、その動作をする人に対する尊敬の意を表わす。助動詞「る」「ます」を下につけて敬意を強める場合もある。
(イ) 動作性の名詞につく場合。接頭語「御」のついた漢語である場合が多い。
※義経記(室町中か)五「一先づ落ちさせ給ふべく候か、又討死あそはし候はんか」
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)二「お客様の入らっしゃる度に、此子を御吹聴遊(アソ)ばすさうでござります」
(ロ) 動詞の連用形につく場合。多く、動詞の連用形は、尊敬の接頭語「お」を伴う。
※評判記・難波鉦(1680)五「まづあれへ御かへりあそばしませ」

あす・ぶ【遊】

[1] 〘自バ五(四)〙 (「あそぶ(遊)」の変化した語)
① 思うことをして心を慰める。遊戯をしたり、気楽に歩いたり、遊興したりする。
※天理本狂言・引括(室町末‐近世初)「二日や三日、あすんだと云て」
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)三「御説法があるから、あすびながらおざい」
② 仕事や勉強をせず、また、職が得られずぶらぶらする。
※雑俳・軽口頓作(1709)「きみがわるい・あすんでおじやはみくだり」
※西洋道中膝栗毛(1874‐76)〈総生寛〉一二「仮名垣先生の内に寄食(アスン)でゐる、兵亭定岡さんの作だぜ」
[2] 〘他バ五(四)〙 人をからかう。もてあそぶ。
※洒落本・文選臥坐(1790)河東の艷詞「子ぞうだと思ってそんなにあすんでくんなせへすな」

あそば・す【遊】

[1] 〘他サ五(四)〙
① 遊ぶことをさせる。子どもに、遊びをするようにしむける。
※枕(10C終)一五一「をかしげなるちごの、あからさまにいだきてあそばしうつくしむほどに、かいつきて寝たる、いとらうたし」
② 金や道具などを使わないでおく。
※浮世草子・世間胸算用(1692)二「一日も銀をあそばさぬ思案をめぐらしける」
[2] 〘他サ下二〙 ⇒あそばせる(遊)

あすば・す【遊】

〘他サ四〙 (「あそばす(遊)」の変化した語)
[一] いろいろの物事をするの意の尊敬語。なさる。
※天理本狂言・入間川(室町末‐近世初)「申々、けがあすばすな、そこはふかひと云」
[二] 補助動詞として用いられる。動詞の連用形に尊敬の接頭語「お」をつけた形につき、その動作をする人に対する尊敬の意を表わす。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)二「おまへさん、是をお浴(あび)(アスバ)してお上りあすばせ」

あそば・せる【遊】

〘他サ下一〙 あそば・す 〘他サ下二〙
① 金や道具などを使わないでおく。
※椀久物語(1899)〈幸田露伴〉六「町人百姓の身分では千両積んであっても百両以上の金を遊ばせて置かうやうは無い」
② (心などを)楽しませる。
※泥人形(1911)〈正宗白鳥〉一「音は重吉の耳にも懐かしかった。それを聴きながら、自由自在の連想に心を遊ばせてゐた」

あすび【遊】

〘名〙 「あそび(遊)」の変化した語。
※朝鮮板伊路波(1492)「またくげの御あすびわ、つきのまゑのしいか」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「遊」の解説

あしび【遊】

沖縄の泡盛。蔵元の「瑞穂酒造」は嘉永元年(1848)創業。所在地は那覇市首里末吉町。

出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報

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