遊郭(廓)(読み)ゆうかく

百科事典マイペディア 「遊郭(廓)」の意味・わかりやすい解説

遊郭(廓)【ゆうかく】

郭(くるわ),曲輪,色里とも。公娼を集めて居住させた特別区画。豊臣秀吉によって始められ,江戸時代に制度として整えられ,《洞房語園》(1720年)には,江戸吉原,京都島原,大坂瓢箪(ひょうたん)町(新町),下関稲荷町,博多柳町,長崎丸山など官許遊郭25ヵ所があがる。これに対して飯盛旅籠(めしもりはたご)の名目で半公認された品川等の宿駅や,江戸中期以降とくに勢力を伸ばした,深川などの私娼(ししょう)街(江戸では岡場所)があった。遊郭は多く郊外に設置され特別な町割をもち,周囲をみぞで囲み,大門(おおもん)のみを通行口として隔離した。特異な習俗作法廓詞(くるわことば),揚屋制度などを有し,江戸期の文化形成に一定の影響を与えた。江戸芸術の多くが遊里と何らかの関連があるのは,ここが芝居とともに一種の社交場となっていたことにもよる。遊郭は明治に入ると単なる売春地帯へと変貌して急増し,1924年には全国544ヵ所を数えた。第2次大戦後1946年の公娼廃止指令によって表面上は消滅したが,いわゆる赤線地帯として存続し,1958年の売春防止法実施で完全に一掃された。
→関連項目公界桂庵里ことば娼妓解放令新地買売春遊女

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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