遅かりし由良之助(読み)オソカリシユラノスケ

デジタル大辞泉 「遅かりし由良之助」の意味・読み・例文・類語

おそかりし由良之助ゆらのすけ

歌舞伎仮名手本忠臣蔵」で、大星由良之助が主君塩冶えんや判官切腹の場に駆けつけるのが遅れたところから》待ちかねた場合、また、機を逸して用をなさない場合に使う言葉

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故事成語を知る辞典 「遅かりし由良之助」の解説

遅かりし由良之助

待ちかねているときにいうことば。また、間に合わないときにいうことば。

[使用例] 今から行ったって間に合うめえ。お気の毒だがお熊ちゃん、遅かりし由良之助だぜ[岡本綺堂*廿九日の牡丹餅|1936]

[使用例] おそかりし明智探偵じゃ。きみは今ごろになって、ノコノコと、何をしにおいでなさった[江戸川乱歩*妖怪博士|1938]

[由来] 浄瑠璃仮名手本忠臣蔵―四」(1748)で、切腹をするえんはんがんが腹に刀を突き立てた直後、やっとおおぼし由良之助が到着する場面をふまえたことば。歌舞伎でも有名なこの作品は、赤穂浪士仇討ち事件を題材にしたもので、塩谷判官のモデルは赤穂藩主、あさ内匠頭たくみのかみ。大星由良之助のモデルは、その家老おおいし内蔵くらのすけ。江戸城内で、こうずけすけに斬りかかるという大事件を起こした内匠頭は、切腹を命じられ、赤穂藩は取りつぶしとなります。その一方で、上野介にはおとがめなし。それを不満とした元赤穂藩の浪士たちが、内蔵助に率いられて仇討ちを遂げたというのが、事件のあらすじです。なお、浄瑠璃の台本には、「ヤレ由良之助、待ちかねたわい」という塩谷判官セリフはありますが、「遅かりし由良之助」ということばは出てきません。

[解説] ❶内匠頭の切腹は、「忠臣蔵」でもっとも涙を誘う場面の一つ。浄瑠璃では塩谷判官が息を引き取る前に由良之助は到着し、遺言をきちんと聞き取ることができたのですが、由良之助がなかなか到着しないことにハラハラしすぎるためか、現在では、主に「間に合わない」という意味で使われています。❷「遅かりし」のあとに「由良之助」以外の人名を付けて、さまざまな形で用いられることがあります。

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ことわざを知る辞典 「遅かりし由良之助」の解説

遅かりし由良之助

待ちかねた。または時機に遅れて間に合わない。

[使用例] これはならぬと初めて驚いてごみまぶれの墨斗やたて取り出せしも遅かりし由良之助[斎藤緑雨*売花翁|1893]

[解説] 歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」四段目で、えん判官が、腹に刀を突き立てた直後にやっと大星由良之助が到着した場面をふまえていいます。

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