造化(読み)ゾウカ

デジタル大辞泉 「造化」の意味・読み・例文・類語

ぞう‐か〔ザウクワ〕【造化】

天地万物を創造し育てること。また、それをなす者。造物主。「造化の神」
造物主によってつくられたもの。自然。「造化の妙」
[類語]自然天然てんねん森羅万象しんらばんしょう天工天造原始大自然天地人

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精選版 日本国語大辞典 「造化」の意味・読み・例文・類語

ぞう‐か ザウクヮ【造化】

〘名〙
天地間の万物が生滅変転して、無窮に存在していくこと。
※正法眼蔵(1231‐53)袈裟功徳「土俗万差にして造化はかりがたし」
史記抄(1477)一二「儒道の造化之事を無窮に云て天命ぢゃなんどと云は、仏教内伝から見ればやすいぞ」 〔列子‐周穆王〕
② 天地を創造し、その間に存在する万物を創造、化育すること。また、それをなす者。造物主。造物者。
古事記(712)上「乾坤初めて分れて、参神造化(ざうくゎ)の首と作(な)り」
※俳諧・奥の細道(1693‐94頃)松島「造化の天工、いづれの人か筆をふるひ詞を尽さむ」 〔荘子‐大宗師〕
③ 造物主によって造り出された森羅万象。自然。天然。
※俳諧・笈の小文(1690‐91頃)「鳥獣を離れて、造化にしたがひ、造化にかへれとなり」
④ (中国の近世語から) 幸福。運。運命。
江戸繁昌記(1832‐36)三「今日、造化高し(〈注〉シヤワセヨシ)。一餉に売清す。贏(〈注〉モウケ)も亦少なからず」

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改訂新版 世界大百科事典 「造化」の意味・わかりやすい解説

造化 (ぞうか)

万物を創造化育するという意味から出た言葉で,天地の間の万物が生々流転しながら永遠に存続する作用ないし働きをいう。転じて,天地の間の一切万物を創造する造物主,あるいはそれによって創造された天地,自然,宇宙のことをも意味する。古く《荘子》大宗師篇に,万物に生死の変化を無限にくりかえさせる偉大な自然の働きの意味で〈造化〉という言葉が用いられているが,宋代の儒学ではもっと広く,宇宙の形而上学的絶対者としての〈太極〉が,万物を生成する根元的な創造力であると解釈されている。日本では《古事記》序に〈乾坤初めて分かれて,参神造化の首と作(な)り〉と記されて以来,各方面で用いられているが,それを自己の芸術論根底にすえたのは芭蕉が初めてで,彼はすべての芸術を貫く根元的な姿勢として,宇宙の至大の創造力に帰一することが肝要であると言い,〈造化にしたがひ,造化にかへれ〉(《笈の小文》)と説いた。
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普及版 字通 「造化」の読み・字形・画数・意味

【造化】ぞうか(ざうくわ)

万物を創造する。天地のはたらき。〔淮南子、精神訓〕夫(そ)れの物を攫(くわくゑん)するや、譬へばほ陶人の埴(はに)を(こね)るがごときなり。

字通「造」の項目を見る

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