透輝石(読み)とうきせき(英語表記)diopside

翻訳|diopside

日本大百科全書(ニッポニカ) 「透輝石」の意味・わかりやすい解説

透輝石
とうきせき
diopside

輝石一種で、淡色調のことが多い鉱物。板状、柱状の結晶形をするほか、粒状や繊維状にもなる。石灰質、苦灰質岩起源の変成岩類に珪(けい)灰石ベスブ石、灰礬(かいばん)ざくろ石、苦土橄欖(かんらん)石、金雲母(きんうんも)、スカポライト(柱石(ちゅうせき))などを伴い、きわめて普通に産する。塩基性火成岩中や閃(せん)長岩質ペグマタイト中にも産する。輝石特有の劈開(へきかい)のほかに、しばしば一方向によく発達した裂開がみられる。いわゆる異剥(いはく)輝石といわれているものはこの性質が顕著なものである。英名は、ギリシア語の二つに見えるという意味から由来する。おそらく種々の晶癖(しょうへき)をもっているためであろう。

松原 聰]

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改訂新版 世界大百科事典 「透輝石」の意味・わかりやすい解説

透輝石 (とうきせき)
diopside

カルシウムCaに富む単斜輝石の一種。化学組成はCa(Mg,Fe2⁺)Si2O6で,Ca/(Mg+Fe+Ca)=0.45~0.50,Fe/(Mg+Fe)=0~0.1の組成のものをさす。淡緑色濃緑色または白色の短柱状~粒状結晶。単斜晶系。モース硬度5.5~6.5,比重3.22~3.38。2種のへき開が発達し,約87度で交わり,へき開面は{110}と{110}である。Caに富む堆積岩やCaとMgに富む炭酸塩質の岩石が接触変成作用をこうむってスカルンになったもの,広域変成作用をうけたものの中に産する。比較的まれには,マフィック~超マフィック火成岩中や隕石中に産する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「透輝石」の意味・わかりやすい解説

透輝石
とうきせき
diopside

ディオプサイドともいう。単斜晶系輝石の一種。 CaMgSi2O6 。マグネシウムの位置は最大 10%まで鉄によって置換されうる。硬度6,比重 3.3。淡緑色。ガラス光沢。短柱状結晶。劈開{110}に良好。カルシウムに富んだ堆積岩を原岩とする変成岩やスカルンに特徴的に産出する。

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