透視(読み)とうし

精選版 日本国語大辞典 「透視」の意味・読み・例文・類語

とう‐し【透視】

〘名〙
① すかして見ること。
※植物小学(1881)〈松村任三訳〉「河流を透視するに底に蒼々の色あるは」
② 心理学で、遠方におけるできごとや隠された物など普通の感覚器官では知り得ないものを感知すること。超能力によるものとされる。
落梅集(1901)〈島崎藤村七曜のすさび・火曜日新茶彼等の心には明らかにこれを透視(トウシ)するなり」
人体に照射して透過したX線を蛍光板に受け、肉眼観察しながら診断する方法。胸部や胃腸の検査などに応用される。〔結核をなくすために(1950)〕

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デジタル大辞泉 「透視」の意味・読み・例文・類語

とう‐し【透視】

[名](スル)
すかして見ること。物を通して、向こう側にあるものを見ること。「心の中まで透視するような目」
X線を用いて体内を観察・診断すること。蛍光板X線テレビに像を映し出して行う。「胸部を透視する」
超心理学用語。普通の感覚器官以外の特別な感覚によって、隠された物を直接に感知すること。
[類語]見通す見え透く見透かす

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改訂新版 世界大百科事典 「透視」の意味・わかりやすい解説

透視 (とうし)
clairvoyance

超常現象の一つ。目を使わずに他の身体部位で字を読んだり,カードの裏の図形をあてたり,遠くにある物の様子を見ること。俗にいう千里眼にあたる。超心理学ではESP(超感覚的知覚)といい,テレパシーと同質の現象とする。中国では,1979年以後,各地で超能力をもつ児童が多数発見された。身体で字を知る部位は耳,わきの下,指などが多いが,頭頂,膝,背中,足裏,臀部(でんぶ)などで知る場合もある。色彩や図形の識別は,主に前額や頭の各部でなされる。この能力は精神状態および身体の健康状態と関係が深く,心身不安定のときは判別できにくい。またこの能力は,訓練によって人工的に誘発することができる。この能力は主に8~15歳の児童に多く見いだされる。これは,幼少年期には無意識の力が活発なためと思われる。また,東洋医学でいう経絡の気の流れと関係があるものと考えられている。したがって,深層心理学心身医学,東医学などによる研究が必要である。
超常現象
執筆者:

透視 (とうし)
fluoroscopy

X線検査における一手法。医療,工業両方面において用いられる。医療面では消化器系および循環器系の検査にとくに多く使用されるのをはじめ,その適用範囲は医療検査のすべての範囲におよぶ。工業利用として,製品の品質検査,空港等における危険物の検査にも用いられている。透視の原理は,物体を透過してきた不可視のX線が蛍光板(ZnCdS/Agなど)に当たり,そこに可視像を形成するという〈X線の蛍光作用〉を応用したものである。現在は蛍光板のかわりに蛍光増倍管(イメージインテンシファイアimage intensifier)が用いられ,撮像管やモニターテレビと組み合わせたX線テレビシステムを形成している。X線透視の特徴は,X線写真に比べ解像力は劣るが,動態の観察や立体的関係を容易に把握できることである。X線テレビ方式の利用により検者,被検者のX線被曝(ひばく)も軽減され,明るい室内での検査が行える。またビデオテープ,映画撮影による動的記録もなされ,画像処理を加えることも可能になっている。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「透視」の意味・わかりやすい解説

透視
とうし
clairvoyance

千里眼。心霊現象の一種。遠方での出来事のような,感覚的,知覚的には把握することのできない対象を,超感覚的に知ること。対象が過去に起ったこと,あるいは未来に起ることである場合もあり,時間的・空間的に離れたものを「見る」ことができる。箱の中身や封筒の中を知ることを特にX線透視といい,このほか人体の透視や夢による透視などがある。

透視
とうし

X線透視診断」のページをご覧ください。

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占い用語集 「透視」の解説

透視

直前の視野に入らないものや、視覚で確認できないものを、直感やイメージで正確に判別する能力。「遠隔透視」・「リモートビューイング」・「千里眼」とも呼ぶ。視野の範囲内で行われるものを通常「透視」、遠く離れた場所の映像を見るものを「遠隔透視」という。

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世界大百科事典(旧版)内の透視の言及

【ESP】より

…超感覚的知覚extra sensory perceptionの略語。超心理学では透視テレパシー予知の三つをまとめていう。このうち最もよくみられるのが透視で,俗に千里眼ともよばれる。…

【サイコメトリー】より

…アメリカの科学者ブキャナンJ.R.Buchanan(1814‐99)が提唱した用語で,ある実験によれば男性の10人に1人,女性の4人に1人がこの能力を持つという。この能力は透視の一種とされ,かつて存在した人間の記憶がにおいと同様に周囲の事物に残るとする超心理学的仮説に依拠している。ESPカードによる透視能力実験などはこの応用であり,近年ではサイコメトリーを用いて犯罪現場の遺留品から犯人や被害者の行方を探る試みも,英米で行われている。…

【予知】より

…当時ラインは,死後生存仮説を検討するための第1段階として,純粋テレパシー現象の実在を実験的に検証しようとしていたが,研究の進展に従い,その難しさに気がついた。その経過の中で副産物的に透視という現象が確認され,次いで,純粋透視の可能性を排除しつつ純粋テレパシーの検証を行おうとしたとき,実験終了後結果を集計すると,そのデータを予知的に知ってしまう可能性のあることが推定された。そこでESPカードにより予知の存在を確認するための実験を行ったところ,偶然では考えられないほどの高得点が得られ,ラインは予知の存在を主張した。…

※「透視」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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