透彫(読み)すかしぼり

精選版 日本国語大辞典 「透彫」の意味・読み・例文・類語

すかし‐ぼり【透彫】

〘名〙 彫刻で、金属、板、石などを表から裏までとおるようにくりぬいて、模様をあらわすこと。また、その彫り方や彫ったもの。欄間装飾刀剣の鍔(つば)金灯籠(とうろう)などに見られる。すきぼり。
※万金産業袋(1732)二「唐鍔は大かたみな鍔うすく、すかし彫にて」

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「透彫」の解説

透彫
すかしぼり

金属板を切り透かして文様を表す技法中世までは文様の輪郭にそって小孔を連続してあけ,その間を切鏨(きりたがね)で切りとる方法が行われたが,近世以降は糸鋸が用いられるようになった。透かしの技法には,文様とする部分を残し地の部分を透かす地透(じすかし)と,地板に直接文様を透かす文様透(もんようすかし)の2種類がある。地透は古墳時代すでに眉庇付冑(まびさしつきかぶと)・鞍金具などに用いられた。一方文様透は香炉釣灯籠(つりどうろう)の煙出しの孔など文様の小さいものが多い。

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百科事典マイペディア 「透彫」の意味・わかりやすい解説

透彫【すかしぼり】

金属面,木面などに文様を切り透かす技法。普通,文様を残して地を切り透かす地透しによるが,彫金には,文様を切って地を残す文様透しも多い。木の透彫は欄間仏像光背多く,金属の透彫は刀剣の鐔(つば)や器物表装に施した例が多い。

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世界大百科事典(旧版)内の透彫の言及

【彫金】より

…鋳造または鍛造(たんぞう)された金属器の表面に,鏨(たがね)で文様を彫ったり,透かしたり,他の金属を嵌(は)めて装飾したりする金工の加飾技法。毛彫(けぼり)や蹴彫(けりぼり)などの線刻,魚々子打(ななこうち),高肉彫や透彫(すかしぼり),象嵌(ぞうがん)などに大別される。 〈点線彫(てんせんぼり)〉は,先のとがった細い鏨を連続して打ち,点線を表現する技法。…

※「透彫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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