逆縁婚(読み)ぎゃくえんこん

精選版 日本国語大辞典 「逆縁婚」の意味・読み・例文・類語

ぎゃくえん‐こん【逆縁婚】

〘名〙 夫の死後、その妻が夫の兄弟と結婚すること。

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デジタル大辞泉 「逆縁婚」の意味・読み・例文・類語

ぎゃくえん‐こん【逆縁婚】

婚姻形態の一。配偶者一方が死んだ場合、死んだ配偶者の兄弟または姉妹再婚すること。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「逆縁婚」の意味・わかりやすい解説

逆縁婚
ぎゃくえんこん

婚姻の一形態。世界各地の諸民族は、特定間柄にある男女間の婚姻を優先したり、あるいは禁止したりする規制をおのおのもっている。このような婚姻規制の一つが逆縁婚である。逆縁婚とは、配偶者の一方が死亡した場合に、死亡した配偶者の兄弟あるいは姉妹と再婚するという婚姻形態であるといちおう定義できる。しかし、再婚の相手として、死亡した配偶者の実際の兄弟姉妹ではなく、その配偶者の親族集団内の類別上の兄弟姉妹が選ばれることもあり、この場合も広い意味での逆縁婚である。

 逆縁婚は、寡婦が亡夫の兄弟と結婚する兄弟逆縁婚レビレート婚levirate)と、寡夫亡婦の姉妹と結婚する姉妹逆縁婚(ソロレート婚sororate)の二つの形態に分類される。

[栗田博之]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「逆縁婚」の意味・わかりやすい解説

逆縁婚
ぎゃくえんこん

夫が死亡した場合,妻が亡夫の兄弟 (おもに弟) と再婚するレビレート婚 levirate (兄弟逆縁婚) と,妻が死亡した場合に,夫が亡妻の姉妹と再婚するソロレート婚 sororate (姉妹逆縁婚) とをいう。レビレート婚は古代ヘブライ社会で,父系制社会を守るために行われ,ベーダ時代 (前 1500~1000) のインドでも,亡父葬儀を男系の子孫によって執行させようとする宗教的要素から行われた。すなわち逆縁婚が成立する背景には,集団間の関係あるいは家の財産の維持,保全のために,婚姻が個人と個人の結びつきでなく,家と家,集団と集団の社会的結合である必要があった社会情勢が考えられる。この婚姻形態は,かつては日本でも大きな商家農家などでみられた。

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百科事典マイペディア 「逆縁婚」の意味・わかりやすい解説

逆縁婚【ぎゃくえんこん】

レビレート

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世界大百科事典(旧版)内の逆縁婚の言及

【近親結婚】より

…日本では,氏族時代に禁婚範囲は狭く異母兄妹姉弟間の結婚も認め,直系姻族間の禁止は律令時代に入ってからで,江戸時代は武家家族の儒教倫理=親族内の身分階層の厳格性の確立から範囲は拡大し,先妻の子と後妻の連れ子間の結婚も禁じた。明治前期では外国法の影響からか,逆縁婚(夫の兄弟との再婚)が禁止や特別許可となり,順縁婚(妻の姉妹との再婚)も特別許可を要するなど,その扱いは一定しなかったが,明治民法は日本の慣習に従いこれらになんらの制限も付さなかった。現行民法は明治民法の近親婚扱いをそのまま継承している。…

【レビレート】より

…弟が亡兄の身代りとなってその妻を引き継ぐ慣習。狭義には,弟は亡兄の単なる代理にとどまる。この場合新たな結婚式をあげず,“死者と結婚している”ことになっている兄の妻と同棲し,生まれてくる子も亡兄の子として扱われる。これに類縁の形態として亡霊婚がある。これは未婚の死者の親族が死者の名義で結婚し,死者の後継ぎを得るもので,弟が亡兄の名義で結婚した場合には,レビレートの極端な形態とみなすこともできる。両者とも典型的な例はアフリカの父系社会に多くみられる。…

※「逆縁婚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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