逆流性食道炎(読み)ギャクリュウセイショクドウエン

デジタル大辞泉 「逆流性食道炎」の意味・読み・例文・類語

ぎゃくりゅうせい‐しょくどうえん〔ギヤクリウセイシヨクダウエン〕【逆流性食道炎】

胃液逆流して食道に起こる炎症。ひどい胸焼け胸痛、喉に酸っぱい液が上がって来るなどの症状がある。食道下部括約筋がゆるむ、食道の動きが鈍るなどが原因胃食道逆流症一つ。びらん性胃食道逆流症。→非糜爛性胃食道逆流症

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百科事典マイペディア 「逆流性食道炎」の意味・わかりやすい解説

逆流性食道炎【ぎゃくりゅうせいしょくどうえん】

胃の強い酸が食道に入り込み,炎症を起こす病気。空腹時や食後,就寝中に胸焼け症状が起こることが多い。70歳以上の高齢者に多く,80歳代では約1割に見られるという。 食道の下部にある括約(かつやく)部は,食べた物を胃へ送り出すと同時に,胃酸が食道に逆流するのを防ぐ役目を果たしている。高齢のために,この機能が衰えたり,障害を起こしたりして,うまく働かなくなるのがその原因。寝ている間に胸焼け症状が出る人が多いのは,身体を横にするため,胃酸が食道に入りやすく,逆流した胃酸が食道の中にとどまってしまうため。 高齢者でなくても,肥満妊婦などで腹部がふくらみ,腹圧が高まっている人の場合,逆流を起こしやすい。健康な人でも1日に4,5回は逆流が起きているが,その回数が増加したり,胃酸の食道での滞留時間が長くなったりすると発症しやすくなる。 重症の場合には,ベッドを傾けて頭を高くしないと胸焼けがして眠れないというケースもある。 治療は,薬物が中心。胃酸の分泌を抑えるH2ブロッカープロトンポンプ阻害剤を使用する。薬で改善されない場合には,胃の上部を食道の後ろに巻き付けるようにして縫い付ける手術を行うこともある。→胃酸過多

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知恵蔵mini 「逆流性食道炎」の解説

逆流性食道炎

胃酸や胃で消化される途中食物が食道に逆流することで食道が炎症を起こし、胸やけや胸の痛みなどの症状を引き起こす疾患。脂肪の多い食事、過食、肥満、加齢、姿勢などによって食道を逆流から守る筋肉の力が弱まったり、胃酸が増えすぎたりすることで起こる。欧米諸国に多い病気とされてきたが、近年は食生活の欧米化などによって日本でも患者が増加。20~30代の比較的若い世代にも増えている。治療は主に生活習慣の改善と薬物療法によって行われる。

(2013-5-23)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「逆流性食道炎」の意味・わかりやすい解説

逆流性食道炎
ぎゃくりゅうせいしょくどうえん
reflux esophagitis

酸性の胃内容や胆汁,膵液を含むアルカリ性の十二指腸液が食道内へ逆流することによって生じる変化。胃全摘術や噴門側胃切除後に多く見られる。むねやけ,苦い液の逆流や胸骨後方痛,心窩部痛 (しんかぶつう) などの不快な症状を呈し,びらんや潰瘍が見られることもある。特に横になると逆流が起きやすく,しばしば夜中に目を覚ます。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「逆流性食道炎」の意味・わかりやすい解説

逆流性食道炎
ぎゃくりゅうせいしょくどうえん

胃食道逆流症

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世界大百科事典(旧版)内の逆流性食道炎の言及

【胃切除】より

…最も厄介なのは食事後に起こる,めまい,冷汗,心悸亢進などを主体とするダンピング症候群である。そのほか,胃が小さいために食事が十分にとれない小胃症状,アルカリ性の腸液が食道に逆流して起こる逆流性食道炎,つなぎめの潰瘍の再発である吻合(ふんごう)部潰瘍,手術後の貧血などの合併症や後遺症がある。最近では,これらに対する対策が十分考えられるようになっており,安全な手術ができるようになっている。…

【食道】より

…食道異物は,気道異物ほどの緊急性はないが,長時間たつといろいろな合併症を起こすので,除去しなければならない。(3)食道炎 食道に炎症を起こした状態で,消化液の逆流によるもの(逆流性食道炎)と,薬物毒物の嚥下によるもの(腐食性食道炎)とがある。 逆流性食道炎は,本来食物の通路で,消化液に対しては無防備である食道に胃液,胆汁などの消化液が逆流して,食道壁に炎症が起きたもので,潰瘍や瘢痕(はんこん)性狭窄を起こす場合がある。…

※「逆流性食道炎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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