逆手(読み)さかて

精選版 日本国語大辞典 「逆手」の意味・読み・例文・類語

さか‐て【逆手】

〘名〙
① 古代の手の打ち方の一つ。人をのろうときや凶事のときに打つかしわ手。具体的にどのように打つかは未詳。手をからだのうしろに回して打つとも、人前から退くときに打つとも、また、手をうらがえして打つものともいう。→天(あま)の逆手(さかて)
※古今神学類編(1698)四九(古事類苑・神祇三七)「後手、逆手、平手名目は神代已来の旧伝なり」
② 刀などを、ふつうの持ち方とは逆になるように持つこと。小指の方が刃に近いように、また、刃の方が自分の方に向くように持つこと。
※宇治拾遺(1221頃)二「刀をさかてに抜きもちて」
※新猿楽記(1061‐65頃)「六君夫高名相撲人也〈略〉小頭(こくび)・小脇・逆手等上手也」
④ 体操競技の鉄棒などで、手の甲を下にして棒を下から握る握り方。⇔順手
相手攻撃を逆に利用して改め返すこと。ぎゃくて。「逆手にとる」

ぎゃく‐て【逆手】

〘名〙
柔道などで、相手の腕の関節反対に曲げて痛めつけるわざ。
※宝の山(1891)〈川上眉山〉一「両腕を逆手(ギャクデ)に取って、捻上げたり」
② 相撲で、使ってはいけない危険なわざ。
③ 相手の攻撃をそらし、それを逆用してこちらから攻め返すこと。また、ある状況他人の行為などに対して、普通に予想されるような方法とは反対の方法で対処すること。
※大道無門(1926)〈里見弴厄日「逆手(ギャクテ)には、一層ふてぶてしく押して行くよりほかはなかった」
④ 物を握ったり持ったりするとき、通常の向きとは逆にすること。⇔順手
⑤ 取引相場で、売りと買いを反対にして手を振ったり、めちゃくちゃの値段を唱えたりして相場をかき乱すこと。〔取引所用語字彙(1917)〕

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デジタル大辞泉 「逆手」の意味・読み・例文・類語

さか‐て【逆手】

《普通とは逆にした手の使い方の意》

刃物の柄を、親指が柄の端、小指が刃の方になるように握ること。切腹するときの短刀の持ち方。
器械体操で、鉄棒などを、手のひら手前に向けて下から握る握り方。⇔順手
相手の攻撃を利用して、逆にやり返すこと。ぎゃくて。「発言を逆手にとってやりこめる」
逆手投げ」の略。
上代、人をのろうときや凶事に際して打ったという手の打ち方。詳細は未詳。あまの逆手。

ぎゃく‐て【逆手】

柔道などで、相手の腕の関節を逆に曲げる技。逆。→関節技
相撲で、禁じ手のこと。
相手の攻撃をそらし、逆にそれを利用して攻め返すこと。また、ある状況などに対して、ふつう予想されるのとは反対の方法で応じること。さかて。「不利な条件を逆手に取る」
物の持ち方や握り方が普通とは逆であること。さかて。⇔順手

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