追風(読み)おいかぜ

精選版 日本国語大辞典 「追風」の意味・読み・例文・類語

おい‐かぜ おひ‥【追風】

〘名〙
① うしろから吹いてくる風。⇔向かい風
※後撰(951‐953頃)恋三・七七八「今はとて行かへりぬるこゑならばおひ風にてもきこえましやは〈兼覧王〉」
② 船の進む方向に吹く風。おいて。順風。⇔向かい風
書紀(720)神功摂政前(北野本訓)「則ち、大きなる風、順(オヒカセ)に吹き、帆舶(ほつむ)波の随(まにま)に、(かいかぢ)を労(ねぎら)はず」
③ 物の香りを吹き送ってくる風。
※伊勢集(11C後)「おひかぜのわがやどにだに吹き来ずはゐながら空の花を見ましや」
④ 特に、着物にたきしめた香や、たいている香の薫りなどをただよわせてくる風。→追い風用意
源氏(1001‐14頃)若紫「君の御をひかせ、いと殊(こと)なれば」
⑤ すぐれた馬。逸馬(いつば)。〔元和本下学集(1617)〕

おい‐て おひ‥【追風】

〘名〙 船や人などが進もうとする方向へ吹く風。順風。おいかぜ。
※親宗集(1182頃)「まつらぶねおいての風も心せよすぎぬる浦に郭公(ほととぎす)なく」
西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉二「順風(オイテ)にまかせて兵庫 摂州 なる神戸に着て」

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デジタル大辞泉 「追風」の意味・読み・例文・類語

おい‐かぜ〔おひ‐〕【追(い)風】

後ろから吹いてくる風。進む方向に吹く風。おいて。順風。⇔向かい風
有利な状況後押しとなる出来事。「参院選与党に景気回復が追い風となる」⇔逆風
着物にたきしめたこうのかおりなどを運び漂わせる風。
「君の御―いと異なれば」〈・若紫〉
[類語]追風おいて順風向かい風逆風横風朝風夕風夜風松風まつかぜ松風しょうふう山風山颪谷風川風浜風潮風海風陸風熱風温風冷風雨風波風風浪風雪風雨無風微風そよ風軟風強風突風烈風疾風はやて大風颶風暴風爆風ストーム台風ハリケーンサイクロン神風砂嵐つむじ風旋風竜巻トルネード春一番春風しゅんぷう春風はるかぜ花嵐薫風風薫る緑風やませ涼風すずかぜ涼風りょうふう秋風野分き木枯らし空風寒風季節風モンスーン貿易風東風ひがしかぜ東風こち西風偏西風南風みなみかぜ南風はえ凱風北風朔風

おい‐て〔おひ‐〕【追風】

後ろから吹いてくる風。進む方向に吹く風。順風。おいかぜ。「追風に帆を上げる」
[類語]追い風順風

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