迫出(読み)せりだす

精選版 日本国語大辞典 「迫出」の意味・読み・例文・類語

せり‐だ・す【迫出】

[1] 〘自サ五(四)〙
① 出現する。隠れていたものが現われる。表面に出る。
滑稽本浮世床(1813‐23)二「大卅日(おほみそか)に掛とりが来ると、直に舞台をぶんまはして、他行のぶんでしらを切りの、元日にずっとせり出(ダ)し」
② つき出る。前の方へと出る。
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉三「少なくとも顔の長さの二分の一丈天に向ってせり出して居る」
[2] 〘他サ五(四)〙
① 内から外へ押し出す。下から上へ押し上げて出す。
※和英語林集成(初版)(1867)「センコウヲ seridasz(セリダス)
劇場で、奈落から舞台・花道役者大道具を押し出す。
歌舞伎男伊達初買曾我(1753)一「下より、笹龍胆の幕を張ったる屋台をせり出す」

せり‐だし【迫出】

〘名〙
① せりだすこと。押し上げて少しずつ出すこと。
② 劇場で、俳優や大道具を、奈落から舞台、または花道へ押しあげ出すこと。また、その装置。せりあげ。せり。
洒落本・廓中美人集(1779)異見の段「羽紫の寺にセリ出しでも出来る物ならば、幽霊にもなられふに」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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