近藤重蔵蝦夷地関係史料(読み)こんどうじゆうぞうえぞちかんけいしりよう

日本歴史地名大系 「近藤重蔵蝦夷地関係史料」の解説

近藤重蔵蝦夷地関係史料
こんどうじゆうぞうえぞちかんけいしりよう

三冊・一帙 東京大学史料編纂所編 東京大学出版会 昭和五九年―平成元年刊

解説 東京大学史料編纂所に所蔵されている「近藤重蔵遺書」のなかから蝦夷地関係史料を選んで編纂したもの。大日本近世史料一―三、附図として刊行。寛政九年に蝦夷地および辺境警衛に関する建言書幕府に提出した近藤重蔵は、翌年には蝦夷地御用を命じられ、幕府の東蝦夷地直轄に際してはロシアに対する最前線のエトロフ島の開発と経営を委任されて、文化五年までの間に五回も蝦夷地に赴いている。本書はその間の近藤の書状上申書・覚書その他の草稿史料を年代順に編集し、解読・翻刻している。第一冊には寛政九年の建言書草案、翌一〇年蝦夷地見分先より送った上申書草案二四通、同時期に最上徳内から受取った自筆の書状六通、同一一年のエトロフ島開島に関する上申書草案、同一二年の「恵登呂府会所日記」(エトロフ島経営着手の日記)などを収録している。第二冊は同一二年の「恵登呂府書」(エトロフ島開島に着手した近藤が蝦夷地御用掛に送った御用状一四通)と「恵登呂府村々人別帳」(エトロフ島アイヌ一千一一八人の人別帳)のほか、同一二年から文化四年までの諸史料を含んでいる。第三冊には同年に天塩川および石狩川を航行した近藤が描いた川筋図の写真版や、秦檍麿「蝦夷島奇観」の初期の草稿を近藤が借写したと思われる巧みな写本、および史料集全三冊の索引などが収められている。いずれも幕府の第一次蝦夷地経営期の貴重な史料で、抹消・加筆された草稿類の解読は非常に困難であったことが察せられる。以上のほか近藤旧蔵の蝦夷地図二一図(分割図を含めて三八枚)複製が別帙で付されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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