近江のお兼(読み)おうみのおかね

精選版 日本国語大辞典 「近江のお兼」の意味・読み・例文・類語

おうみ‐の‐おかね あふみ‥【近江のお兼】

[一] 近江国滋賀県海津遊女大力があったことで有名。奔狂した馬を、その差し縄を踏んでおさえたという。

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デジタル大辞泉 「近江のお兼」の意味・読み・例文・類語

おうみ‐の‐おかね〔あふみ‐〕【近江のお兼】

鎌倉初期、近江国にいたという大力の遊女。「古今著聞集」などが伝える。
歌舞伎舞踊晒女さらしめ」の通称。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「近江のお兼」の意味・わかりやすい解説

近江のお兼
おうみのおかね

歌舞伎舞踊曲。長唄 (初演時は常磐津との掛合) 。本名題『閏茲姿八景 (またここにすがたはっけい) 』。近江八景になぞらえた絵馬の8役を踊る八変化の一つで,7景目にあたる。別称『団十郎娘』『晒女 (さらしめ) 』。文化 10 (1813) 年江戸森田座,7世市川団十郎初演。作詞2世桜田治助,作曲4世杵屋六三郎,振付藤間勘十郎。暴れ馬の手綱足駄で踏み止めた近江国の大力娘の巷説に取材し,義太夫『加賀国篠原合戦』2段目の大力の遊女が晒女になる趣向を受けている。堅田の浮見堂 (浮御堂) を遠景に,近江さらしで有名な琵琶湖の東岸野洲川のほとりを舞台とし,おぼこな田舎娘の風が要求される。全曲二上りで,クドキには近江の地名を詠み込んでいる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「近江のお兼」の意味・わかりやすい解説

近江のお兼
おうみのおかね

歌舞伎(かぶき)舞踊。2世桜田治助(じすけ)作詞。4世杵屋(きねや)六三郎作曲。1813年(文化10)6月、江戸・森田座で7世市川団十郎が初演。近江の八景になぞらえた八変化舞踊『閏茲姿八景(またここにすがたはっけい)』の一節、「堅田(かたた)の落雁(らくがん)」にあたる。伝説上の大力女近江のお兼を描いたもので、たらいを持ったお兼が荒れ馬を押さえるところから始まり、盆踊り、鼓唄(つづみうた)を経て布晒(ぬのざらし)で終わる。略称「お兼」のほか、布晒が眼目なので「晒女(さらしめ)」ともいい、歌詞に「色気白歯の団十郎娘」という文句があるので「団十郎娘」ともいう。なお、原作どおり『心猿(しんえん)』の猿の姿から引き抜く演出もある。

[松井俊諭]

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