農鳥岳(読み)ノウトリダケ

デジタル大辞泉 「農鳥岳」の意味・読み・例文・類語

のうとり‐だけ【農鳥岳】

山梨と静岡の県境にある山。赤石山脈北部、白根山の一峰。標高3026メートル。北にあいノ岳(3189メートル)・北岳(3193メートル)が位置する。山名は、山腹に現れる鳥形の残雪が、農民農耕の目安になったことから。南アルプス国立公園に属する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「農鳥岳」の意味・わかりやすい解説

農鳥岳
のうとりだけ

赤石山脈(あかいしさんみゃく)(南アルプス)北部の山。北岳、間ノ岳(あいたけ)とともに白根三山(しらねさんざん)を構成する。3山の最南に位置し、標高3051メートル。南アルプス国立公園に含まれる。春になると甲府盆地から見えるこの山に、首を伸ばした白鳥の形に雪が残る。これが苗代(なわしろ)への播種(はしゅ)期に相当するということからこの山名がある。登山は3山の縦走がおもで、山梨県南アルプス市芦安芦倉(あしやすあしくら)の広河原(ひろがわら)から北岳経由でこの峰に至り、大門沢から奈良田(ならだ)(早川町)に下山するのが一般的である。

吉村 稔]

『朝日新聞社編・刊『週刊続日本百名山no.5 朝日ビジュアルシリーズ鋸岳・農鳥岳・櫛形山』(2002)』


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改訂新版 世界大百科事典 「農鳥岳」の意味・わかりやすい解説

農鳥岳 (のうとりだけ)

赤石山脈北東部,山梨県南巨摩郡早川町と静岡市の境にある山。白根三山の最も南にあり,北西にある西農鳥岳(標高3051m)と南東にある農鳥岳(東農鳥岳または本農鳥岳,標高3025m)とからなる。東農鳥岳の東側斜面を刻む農鳥沢の源流部には,6月初旬から中旬ころに,首の長い水鳥状の残雪が残る。甲府盆地の農民は,これを見て田植の時期をきめたことから農鳥の山名がつけられた。間(あい)ノ岳から農鳥岳方向へ進むにつれて,白根層群(白亜系)をおおう赤石層群(白亜系)の砂岩層が広く分布している。この砂岩層からなる東農鳥岳南西斜面を下刻している滝ノ沢には,みごとな滝がある。西農鳥岳から東農鳥岳にかけての稜線部はやせた岩尾根であるが,間ノ岳から西農鳥岳の北東にある農鳥小屋にかけての稜線部は,幅が広く地層走向に沿って雪食作用による二重山稜(稜線が平行に並ぶ)の起伏が見られる。また緩斜面部には,条線土や多角形土などの構造土が発達している。農鳥岳付近の高木帯(ハイマツ,ダケカンバなど)と低木帯(針葉樹林)の森林限界は,標高2600m付近にある。
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百科事典マイペディア 「農鳥岳」の意味・わかりやすい解説

農鳥岳【のうとりだけ】

山梨県,静岡県の境,赤石山脈の北部にある山。標高3026m。北の間ノ岳(あいのだけ),北岳とともに白根三山と呼ばれる。中生層からなり,西側は大井川の源流部をなす。山頂の南側には二重山稜やカールがみられる。南アルプス国立公園に属し,間ノ岳との鞍部(あんぶ)に農鳥小屋がある。西方には標高3051mの西農鳥岳がある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「農鳥岳」の意味・わかりやすい解説

農鳥岳
のうとりだけ

山梨・静岡県境にある山。赤石山脈北部にある。標高 3026m。白根三山の1つ。西方に西農鳥岳 (3051m) がある。山名は晩春に甲府盆地から見て雪が鳥の形に消えると農事を始める合図としたことに由来。

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事典・日本の観光資源 「農鳥岳」の解説

農鳥岳

(山梨県南巨摩郡早川町・静岡県静岡市葵区)
白根三山」指定の観光名所。

農鳥岳

(山梨県南巨摩郡早川町)
山梨百名山」指定の観光名所。

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