普及版 字通 「辞(漢字)」の読み・字形・画数・意味
辞
常用漢字 13画
(旧字)辭
19画
(異体字)
15画
[字訓] とく・ことば・ことわる
[説文解字]
[金文]
[字形] 会意
旧字は辭に作り、(らん)+辛(しん)。は架糸の上下に手を加えている形で、糸の乱れているさまを示し、亂(乱)の初文。亂はその乱れている糸を乙(いつ)(骨べらの形)で解きほぐしてゆくのであるから、「亂(をさ)む」とよむべき字である。辭はその乱れている糸を辛(はり)で解きほぐしてゆくのであるから、亂と同じく治める意で、辞説の意に用いる。それは獄訟のとき、その嫌疑を解き明かすこと、その弁解の辞をいう。〔説文〕十四下に「くなり。・辛に從ふ。辛を(をさ)むるは、ほ辜(つみ)を理(をさ)むるがごときなり」(段注本)とする。辛を辜(こ)にして罪辜の意とし、を「(をさ)む」とよんで、その会意の字とするが、亂が骨べらで乱れた糸を解くのと同じく、辭は辛でその乱れを解く意である。〔説文〕に重文として(し)の字を録するが、は司の繁文。司は祝詞によって神を祠(まつ)る意の字。辭は神判のとき、その嫌疑を解く辞をいう。神に対して弁明を試みる意であるから、と声義が近い。〔楚辞〕の辞は、神に訴え申す歌辞をいう。
[訓義]
1. とく、嫌疑を解く、神に告げて嫌疑を解く。
2. うったえる、つげる、ことわけていう、そのことば。
3. ことをわけてつげ、ことわる、あやまる、わびる、おしえる、せめる、さとす。
4. わかれる、さる、やる、しりぞく。
5. 神につげることば、その歌。
6. 祠と通じ、まつる。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕辭 コトバ・イナフ・トドマル・サル・ワカル・マカリ・マウス・ケガス/ イナブ・コトバ・マウス 〔字鏡集〕 ワカル・マウシス・イナフ・ノガル・ケガス・トドム・マウス・マカリ・サル・コトバ・コトニ・シス
[語系]
辭・詞・祀・祠ziは同声。神に対して嫌疑を解くことを辭といい、神に対して祈る歌詩を詞・辭といい、祀ることを祀・祠という。金文のは司siの初文で、神意を伺うことをいう。
[熟語]
辞案▶・辞意▶・辞違▶・辞家▶・辞官▶・辞▶・辞観▶・辞気▶・辞義▶・辞儀▶・辞却▶・辞給▶・辞去▶・辞拒▶・辞訓▶・辞決▶・辞訣▶・辞見▶・辞言▶・辞語▶・辞告▶・辞采▶・辞歳▶・辞旨▶・辞指▶・辞謝▶・辞趣▶・辞訟▶・辞章▶・辞状▶・辞情▶・辞譲▶・辞色▶・辞職▶・辞人▶・辞塵▶・辞世▶・辞悽▶・辞説▶・辞阻▶・辞宗▶・辞藻▶・辞竈▶・辞▶・辞対▶・辞退▶・辞託▶・辞致▶・辞朝▶・辞牒▶・辞調▶・辞吐▶・辞年▶・辞費▶・辞避▶・辞表▶・辞賦▶・辞柄▶・辞別▶・辞弁▶・辞貌▶・辞命▶・辞理▶・辞令▶・辞霊▶・辞禄▶
[下接語]
異辞・偉辞・逸辞・婉辞・音辞・辞・嘉辞・歌辞・賀辞・甘辞・含辞・玩辞・辞・偽辞・虚辞・曲辞・訓辞・辞・謙辞・言辞・古辞・固辞・爻辞・巧辞・好辞・宏辞・告辞・砕辞・賛辞・式辞・失辞・謝辞・邪辞・修辞・祝辞・書辞・助辞・頌辞・属辞・世辞・正辞・説辞・占辞・措辞・辞・造辞・辞・多辞・題辞・託辞・弔辞・陳辞・通辞・騁辞・伝辞・答辞・辞・拝辞・卑辞・辞・費辞・美辞・微辞・繆辞・浮辞・辞・文辞・弁辞・褒辞・卜辞・曼辞・約辞・腴辞・有辞・遊辞・用辞・俚辞・両辞・令辞・礼辞・麗辞・弄辞
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報